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新型コロナで苦渋の決断――ホリエモン出資の宇宙ベンチャー・インターステラ稲川社長が“打ち上げ延期決定前”に明かしていた「人材育成と成長戦略」大樹町の要請で打ち上げ延期(3/6 ページ)

» 2020年05月13日 04時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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「開かれた開発」によって、地元の理解も進んだ

――観測ロケットの「MOMO」と並行して、超小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」の開発も進んでいると思います。今日までの変化を稲川社長はどのように感じていますか。

稲川:私が入社したのは2013年で、代表になったのは2014年です。当時はいまから考えると基礎的なことをやっていて、特に周囲からの理解はまだ全くなかったですね。一般的な知名度がないばかりか、地元でも無名の状態でした。

 私が関わり始めてから意識しているのは、開かれた開発です。最近は「みんなのロケット」とよく言っていますが、多くの人に知ってもらえるように、いろいろな人を巻き込めるような形でロケットを開発しています。

 ロケットの打ち上げは、お客さまからお預かりした荷物(ペイロード)を宇宙まで運ぶ、宇宙までの運送業が主な仕事です。また、これまでは地元にもお返ししたいという気持ちで、副次的な効果としてロケット打ち上げのイベントもありました。2号機、3号機、4号機と、1つずつ、分かりやすく開かれた形で打ち上げることによって、徐々に知名度も上がってきました。いまではISTは本当にロケットを作っているのだと認知してもらえていると感じています。

――地元の理解で言えば、大樹町が宇宙のまちづくりを進めるため、企業版ふるさと納税の「まち・ひと・しごと創生寄附金」の募集を始めました。19億円を集める予定で、そこからロケットの開発、打ち上げ、工場建設にも補助金が出るそうですね。これは大きな変化ではないでしょうか。

稲川:すごい仕組みですよね。「MOMO5号機」の打ち上げ日程と、企業版ふるさと納税の募集を発表した4月20日の記者会見には、酒森正人町長にも同席していただきました。すごく支援していただいています。他にも、大樹町内にISTの後援会が立ち上がるなど、多くの方々に支援をいただいています。

 大樹町は人口が約5500人の町です。それがいまでは宇宙のまちづくりに取り組もうと動き始めました。地元にも応援されながら、少しずつ理解や共感の輪が広がっているのを感じます。

photo 超小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」(インターステラテクノロジズ提供)

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