木製腕時計をつくった会社に、なぜ3000万円超の資金が集まったのか北欧スタートアップ「ヴェアホイ」(4/5 ページ)

» 2020年05月26日 08時03分 公開
[小林香織ITmedia]

縁の下の力持ちは、現地在住の日本人パートタイマー

 ヴェアホイは、17年と18年の2度に渡り、日本でクラウドファンディングを実施、20年4月に立ち上げたプロジェクトは、通算3回目となる。1度目は約1000万円の支援を集め大成功を収めたが、2度目の結果は振るわなかった。

 「過去2回のクラウドファンディングは、日本の代理店を通じて実施しました。ただ、2度目のプロジェクトの結果を見て、日本市場をもっと知る必要があると痛感しました。それから日本人パートタイマー2人を現地採用し、代理店を利用せずデンマークのからの直接販売を行う戦略にシフトしました。

 彼女たちが入社したことにより、お客様と直接コンタクトを取ることができるようになり、日本人顧客のニーズや好みをより深く理解できるように。さらに、インフルエンサーやアフィリエイトとのコラボレーションやオンライン広告といったデジタルマーケティング戦略を素早く調整することも可能になり、これらが売り上げに大きく貢献しています。

 私たちは同じオフィスで働いているので状況を共有しやすく、彼女たちは英語が堪能なのでコミュニケーションもスムーズです。私がどんな想いで時計を作っているかを理解し、日本人らしい気配りを生かしてサポートしてくれています。会計などの一部は母と弟に頼っていますが、フルタイムの社員は私1人のみ。小規模のまま事業をスケールできたのは彼女たちの活躍に他なりません」(ヤーヌス氏)

左からパートタイマーの小口瑛子さん、ヤーヌス氏、同じくパートタイマーのコーリング優香さん(撮影:筆者)

 ヴェアホイで働く日本人パートタイマーは、翻訳、カスタマーサービス、デジタルマーケティング、PRなど、幅広い役割を担う。同社で働く日本人パートタイマーの1人、小口瑛子さんはヴェアホイでの仕事、ヤーヌス氏について、こう語る。

 「デンマーク語は英語以上に敬語がない言語ということもあり、フラットな人間関係とスタートアップならではのスピード感、事業成長のダイナミックさを日々感じています。大学院を卒業後すぐにヴェアホイを立ち上げ、1人でここまで大きくしてきたヤーヌスは、デザインから発送の梱包作業まで全ての工程をこなすザ・スタートアップの代表。どんなに忙しくても手厚い顧客対応を忘れない姿勢が、多くの人に愛されるブランドに成長した一つの秘訣(ひけつ)かなと思います」(小口さん)

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