木製腕時計をつくった会社に、なぜ3000万円超の資金が集まったのか北欧スタートアップ「ヴェアホイ」(5/5 ページ)

» 2020年05月26日 08時03分 公開
[小林香織ITmedia]
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「ものづくりに近道はない」日本とデンマークに共通する美学

 強力な助っ人となった日本人パートタイマーたちとともに臨んだ3回目のクラウドファンディングでは、天然の桜の木を使った新作モデルを世界に先駆けて日本で先行発売した。

 「これは2017年の春に京都、広島、東京を訪れた際、現地で満開の桜にインスピレーションを受けて、創作を決めました。わずかな期間で散ってしまう桜の儚(はかな)い美しさに魅了されると同時に、ものづくりの信念や自然を愛する心など、日本と北欧との共通点についても再確認する旅となりました。

 私は、日本の職人たちが持つ細部へのこだわり、完璧を追求する姿勢を心から尊敬していますし、北欧のミニマリズムの哲学に通じる点があると思います。だからこそ、多くの北欧デザインが日本人のみなさんに愛されているのでしょう」(ヤーヌス氏)

 より洗練されたデザインを実現し、かつ代理店を通さずコストを抑えることに成功した今回のプロジェクトは、過去最高の結果に。開始わずか1日で目標金額の60万円を達成し、ヤーヌスをはじめ社員たちは歓喜に包まれたという。

 「私たちのプロダクトは、やはり日本のみなさんに受け入れてもらえているのだと確信できました。とてもワクワクしていて、1日も早くみなさんにお届けしたい気持ちでいっぱいです」(ヤーヌス氏)

(撮影:コーリング 優香)

 「私たちは派手さよりも、天然の素材を用いてシンプルな中に美しさを見出すデザインを追求しています。最高品質を求めるならば、決して近道は存在しません。

 ものづくりにおける私たちの哲学は、日本のみなさんの洗練された感覚や好みに非常に近いのではないかと感じています。

 今のところ、ヴェアホイは時計に焦点を当て、新作のデザイン制作に注力しています。今後も私たちの命とも言える『独創性のあるNordicCool なデザイン』を追求し、お金を払う価値のあるプロダクトを提供していきます」(ヤーヌス氏)

 デンマークをはじめとした北欧には、20年3月に日本に初上陸したフードデリバリー「Wolt」や世界最小クラスの折りたたみイスが人気の「Sitpack」など、じわじわと日本に進出するサービス、プロダクトが目立ち始めている。際立つデザイン性やテクノロジーを武器に、日本市場を攻める北欧発スタートアップの今後に注目したい。

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