5月14日。マツダのオンライン決算発表が行われた。販売台数ダウン、減収減益という中で、決算内容そのものは課題だけでなく、光明が見えるものだった。
まずは総括からだ。販売台数は昨年の156万1千台から141万9千台へと14万2千台(9%)ダウン。売上高は、3兆5642億円から3兆4303億円へと1339億円(4%)ダウン。営業利益は823億円から436億円へと387億円(47%)ダウン。そして、ここ数年の課題である売上高営業利益率は、前年の2.3%から1.3%へ1.0ポイントダウンした。
マツダ決算の概況
ちなみに、今期の決算においては、新型コロナの影響でマツダだけでなく、自動車市場そのものの需要の落ち込みがある。こういうケースではそれを加味しないと実力が測定できない。市場全体の動向を「全体需要」とか「全需」といったりする。コロナによる「向かい風参考記録」的なシチュエーションでは全需の落ち込みがどの程度あるのかが分からないと、決算の出来が判定しにくい。
筆者はそれを台数ベースで見て5%程度と踏んでいる。論拠の詳細は過去の記事を参照されたし(「象が踏んでも壊れないトヨタの決算」参照)。利益など財務指標については、損益分岐点をどの程度超過しているかによるので、全需との関係性は間接的なものになる。
という前提条件を当てはめて見ると、マツダの場合は全需に対して台数のダウン影響が大きい。つまりコロナの影響を除いても売れていない。
- 自動車を売るビジネスの本質 マツダの戦略
原理原則に戻ると自動車ビジネスもシンプルだ。商品とサービスに魅力があれば、新車を正価、つまり値引きせずに売れるから中古車の相場が上がり、その結果下取り価格が高いので、買い替え時により高いクルマが売れる。これが理想的サイクルだ。それを実現した例として、マツダの取り組みを歴史をひもといてみよう。
- 象が踏んでも壊れないトヨタの決算
リーマンショックを上回り、人類史上最大の大恐慌になるのではと危惧されるこの大嵐の中で、自動車メーカー各社が果たしてどう戦ったのかが注目される――と思うだろうが、実はそうでもない。そして未曾有の危機の中で、トヨタの姿は極めて強靭に見える。豊田社長は「トヨタは大丈夫という気持ちが社内にあること」がトヨタの最大の課題だというが、トヨタはこの危機の最中で、まだ未来とビジョンを語り続けている。
- ホンダの決算から見る未来
ホンダの決算は、コロナ禍にあって、最終的な営業利益率のダウンが4.2%レベルで抑えられているので、酷いことにはなっていない。ただし、二輪事業の収益を保ちつつ、四輪事業の利益率を二輪並に引き上げていく必要がある。特に、武漢第3工場の稼働など、中国での生産設備の増強は続いており、中国マーケットへの傾倒をどうするかは課題だ。
- 悪夢の「マツダ地獄」を止めた第6世代戦略
一度マツダ車を買うと、数年後に買い換えようとしたとき、下取り価格が安く、無理して高く下取りしてくれるマツダでしか買い換えられなくなる。その「マツダ地獄」をマツダ自身が今打ち壊そうとしているのだ。
- マツダの決算 またもや下がった利益率の理由
売上高は増収だったが利益面の落ち込みが激しいマツダの決算。北米と中国市場の不振が響いた結果だ。今後に向けて、販売店改革とパワートレーンの刷新を進めるが、これが北米市場で実を結ぶかどうかが焦点となる。
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