クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダの決算 減収減益の中で好内容池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

» 2020年06月01日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

またしても為替で巨額の損失

 ちょっと別の角度から見直してみよう。営業利益の変動要因が一番分かりやすい。

当期の営業利益変動要因

 毎度のごとく、両サイドにある棒グラフが昨年度と本年度の営業利益を指し、その間で、各種要因がどのように押し引きをしたかが、この表から分かる。

 昨年の利益は823億円。それに対して「台数・構成」で183億円積み足している。つまり販売はプラスで、去年より183億円増えているのだ。しかも「コスト改善」のところでは、原材料価格が高騰する中で260億円のプラスを出している。しかし、「為替」で奈落の底へ落とされる。為替での損失が683億円もあれば、それは仕方ない。三歩進んでも二歩下がってしまうのだ。

 開発費は3億円ほど削っているものの、全体で1350億円の開発費の内3億円程度であれば、未来を切り売りしているというほどのことではないし、米国新工場への投資なども進めており、厳しい中でもちゃんと未来への投資は継続されている。

 仮に、この為替損の683億円を今期利益436億円にプラスすれば、1119億円となり、咋対比は136%の大躍進になっていた。ただし、ぬか喜びはできない。その仮定の利益額で利益率を計算しても3.3%にしかならないので、マツダの稼ぐ力が足りないという現実は変わらないのだ。「為替さえなければ……」だけでは解決しない。せめて利益率5%台後半まで早急に復帰させたい。

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