クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダの決算 減収減益の中で好内容池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/6 ページ)

» 2020年06月01日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
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 かといって、今更ブランド価値販売は止められない。長年の努力が水泡に帰する。つまりなんとしてもインセンティブに頼らずに、販売台数を伸長させることが今後の課題となってくる。マツダは常々2%の顧客に満足してもらうクルマづくりを標榜(ひょうぼう)しており、数の論理で戦う方向には向かわないし、向かえない。だからどうあっても、ブランド価値販売によって高付加価値を達成するしか成長の方策がない。

 日本ではすでに、ブランド価値販売が、買い替え需要にプラスに寄与し始めている。高い下取りで手元資金に余裕ができた顧客が、次の買い替えで、より高いクルマへと買い換える流れが回り始めている。米国でも高付加価値販売を実現した今、この次の買い替えサイクルまで、必死に耐える以外にマツダにできることはない。

 それがうまくいけば、ちょうど北米戦略製品群であるラージプラットフォームの登場のタイミングで、日本と同じ現象が起きる可能性がある(「藤原副社長、ラージプラットフォーム投入が遅れる理由を教えてください」参照)。マツダにとって辛抱の数年となる。

 最後にちょっとだけ告知。このITmedia ビジネスオンラインで、27日から「新型コロナで経済死しないための方法」としてシリーズ原稿を4本執筆した。すでに3本は掲載されており、最後の1本は明日掲載の予定だ。零細起業の経営者に、経済的理由で自殺しないで欲しいという思いで書いた記事だ。ご一読いただけたら幸いだ。

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筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答を行っている。


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