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なぜ、失業者ではなく休業者が新型コロナで激増したのか 2つの理由今後のカギは「サスティナブルワーク」(5/5 ページ)

» 2020年06月12日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]
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束縛もほどほどに

 同じように政府が推奨しているものの、まだ普及が進んでいないのが副業です。しかし今回のコロナ禍で、変化が現れ始めています。

 ある大手小売店では緊急事態宣言発令期間中、雇用形態を問わずグループ会社間での出向を促進する仕組みを整えました。新たに社団法人を立ち上げて、社員の出向を希望する企業と社員の受け入れを希望する企業とのマッチングを行う活動なども始まっています。また、大手生活用品メーカーのライオンが、副業人材を募集するという報道も話題になりました。

 これまで人材や労働力は、所属する企業の専属的資産だと認識されてきました。しかし一方で、その強い専属意識が、働き手だけでなく企業側をも束縛してきた面があります。企業と働き手とが互いに束縛し合う関係は、家族的な日本企業の文化に合致しているところがあり、今回のコロナ禍において解雇ではなく休業という形で多くの雇用が守られている点においては、その良い面が表れているようにも思います。

 しかし、企業と働き手とが互いに束縛し合う関係が、597万人もの才能と労働力を埋もれさせているとも言えます。afterコロナ、withコロナの時代を前向きに突き進んで行くためには、日本企業が培ってきた文化の良いところを残しながら、さらに進化させていく必要があると考えます。その進化の過程において、企業と働き手の最適な関係性の在り方もまた変わっていくのではないでしょうか。

著者プロフィール・川上敬太郎(かわかみけいたろう)

1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業。テンプスタッフ株式会社(当時)、業界専門誌『月刊人材ビジネス』などを経て2010年株式会社ビースタイル入社 。2011年より現職 (2020年からビースタイル ホールディングス) 。複数社に渡って、事業現場から管理部門までを統括。しゅふJOB総研では、のべ3万人以上の“働く主婦層”の声を調査・分析。 『ヒトラボ』『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰。NHK『あさイチ』など、メディア出演・コメント多数。 厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。 男女の双子を含む4児の父。


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