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» 2020年06月12日 05時00分 公開

なぜ、失業者ではなく休業者が新型コロナで激増したのか 2つの理由今後のカギは「サスティナブルワーク」(2/5 ページ)

[川上敬太郎,ITmedia]

休業者が突出して多かった

 それに対し、今回新型コロナウイルスの感染拡大防止のために緊急事態宣言が発令された20年4月までの2年間における完全失業者数と休業者数のグラフが以下です。完全失業者数も休業者数も20年4月が最大値となっていますが、現時点においては、完全失業者数が189万人とリーマンショックのころよりもはるかに少ない数字であるのに対し、休業者数は597万と突出して高いことがよく分かります。

20年4月以前2年間の完全失業者と休業者推移(労働力調査を基に筆者作成)

 では、この異変はどんな背景から生じたのでしょうか。大きく分けて2つの理由があると考えます。

 1つは、新型コロナウイルスの影響が一時的なものにとどまる可能性がある、と多くの企業が考えていたことです。政府からは度々、「この2週間が瀬戸際だ」という説明がなされました。実際には最初の2週間だけで見極めることはできませんでしたが、2週間とまでは言わずとも、企業としてはある程度短期間で収束できる可能性があることを視野に入れながら対策を取る必要があったといえます。

 リーマンショックや東日本大震災のように、影響があった企業の大多数が壊滅的な被害を受けたということであれば、完全失業者数の方がもっと増えて休業者数はもっと少なかったかもしれません。それに対し新型コロナウイルスの場合、影響範囲は広く、日本中のほぼ全ての産業に及ぶものの、現時点で直接壊滅的被害を受けたといえるのは、飲食店や観光業などある程度限定的です。それ以外の産業では、外出自粛などによってジワジワと売上や利益が削り取られ、少しずつ追い込まれてきている印象です。

 もちろん、ジワジワと削り取られる状況が続くことも深刻なダメージをもたらしますが、その元凶はウイルスという目に見えない敵であり、感染拡大さえ収まれば、ある程度は短期間で元に戻すことができるかもしれないという期待もあるでしょう。それであれば、いきなり解雇という選択をするのではなく、休業という形で耐え忍ぶ選択をすることに一定の合理性が出てきます。アメリカでは再雇用を前提としたレイオフ(一時解雇)という方法が取られていますが、日本における休業はその考え方と似ているのではないかと思います。

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