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なぜ、失業者ではなく休業者が新型コロナで激増したのか 2つの理由今後のカギは「サスティナブルワーク」(4/5 ページ)

» 2020年06月12日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

「サスティナブルワーク化」が今後の課題

 597万人が休業状態になっていることは、解雇されることに比べればポジティブだと受け取ることができます。しかし、休業者が通常給与の100%を手当として受け取っているとは限りません。むしろ、労働基準法で最低条件として定められている60%にとどまっている方が一般的だと思われます。それは、手当を支給される働き手にとっても、支給分をコスト負担する企業にとってもつらい状態です。

 マクロの観点に立てば600万人近い労働力が生かされていないことも問題です。それらの現状を踏まえ、働き手個人の幸せと、日本経済全体の課題を同時に解決するための考え方として推奨したいのは、「働き方のサスティナブルワーク化」です。サスティナブルとは持続可能という意味です。社会・自然環境の変化やライフイベント、アクシデントなどがあっても、できる限り働き続けることができ、収入を得られる仕組みを構築することが必要なのだと考えています。

 例えば、いざというときに在宅勤務ができる仕組みの構築というのもその一つです。インターネット環境が整い、日常生活の中に通信網が張り巡らされた現代社会だからこそ、今回のコロナ禍において、多くの企業が在宅勤務体制に移行することができました。もし新型コロナウイルスが20年前に発生していたとしたら、今回のようにはいかなかったはずです。

 政府はかねてテレワークを推奨し、テレワーク・デイズやテレワーク月間などのキャンペーンも行ってきましたが、思うように普及していませんでした。しかし、皮肉にも今回のコロナ禍で一気に導入が進んだ感があります。これは、すでに社会はテレワークを導入できる能力を有していたものの、何か別の意思が働いて普及が抑制されていたことの証明でもあります。

テレワークも「サスティナブルワーク」の一つ(出所:ゲッティイメージズ)

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