クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2020年06月15日 07時50分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:RAV4 PHV 現時点の最適解なれど (1/5)

トヨタはRAV4 PHVを次世代システムとして市場投入した。世間のうわさは知らないが、これは早目対応の部類だと思う。理由は簡単。500万円のクルマはそうたくさん売れないからだ。売れ行きの主流がHVからPHVへ移行するには、PHVが250万円程度で売れるようにならなくては無理だ。たった18.1kWhのリチウムイオンバッテリーでも、こんな価格になってしまうのだ。まあそこにはトヨタ一流の見切りもあってのことだが。

[池田直渡,ITmedia]

 6月8日、売れ行き好調のRAV4に、プラグインハイブリッド(PHV)モデルが追加された。

 PHVモデルの追加は、北米でカムリに代わり、トヨタの稼ぎ頭を務めるRAV4ならではの余裕が感じられる。最廉価モデルで469万円から、要するに500万円のクルマなので、そうそうやたらと買える人はいない。

 265万円からのガソリンモデル、326万円からのハイブリッド(HV)モデルを売りまくって、すでに記録的な成功を収めている。少々いじわるな言い方をすれば、この上PHVが滑ろうと、痛くもかゆくもない。トヨタとしては売れたって困らないが、どっちでも良いくらいのつもりで作っているはずだ。

トヨタ初のSUVのPHVモデルとなったRAV4

トヨタの電動化戦略

 トヨタは常々、「どの動力を選ぶかを決めるのはお客さまであって、メーカーではない」と言い続けている。つまりメーカーの責任は、時代時代の環境規制に対応し、マーケットに望まれるクルマを確実にラインアップすることで、どれが良いかを押し付けたところで、それで売れるものではない。マーケットが望むのであれば電気自動車(EV)も出すし、燃料電池(FCV)も出す。

 世界の自動車メーカーには「トヨタ」と「それ以外のメーカー」があり、普通のメーカーはどうしたって、「選択と集中」戦略を取る。テスラはEVしか出さないし、日産はできることならEVに集中したいが、思ったように売れないのでやむなくシリーズHVや内燃機関モデルを出している。要するに「ウチはこれで行く」というシステムの選択をするのが普通だ。

 ところがトヨタは全部やる。この戦略についてはトヨタとそれ以外というしかないほど、トヨタのやり方は変わっているのだ。その違いが分からないから「トヨタはいつまでもHVにこだわりすぎた」とか、「トヨタは失敗作のFCVに固執している」みたいなすっとこどっこいな意見が出る。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間