いずれにせよ、これまでも手を替え品を替え、政府も経団連も「労働時間規制の適用の免除」の実現を狙ってきました。それは「雇用する義務の放棄」でしかない。会社が会社である以上、雇用する人の健康を守る義務があり、その壁はどんな手を使おうとも早々崩されるものではありません。
よって、ジョブ型の雇用形態と耳ざわりのいい言葉で、再び「雇用する義務の放棄」をあれこれ模索することになるでしょうけど、高プロの二の舞になることは明白です。だいたい高プロでは、労働時間規制を外すことで企業側に求めた条件は、
の2点です。
これらは会社が人を雇用する以上、労働者の健康を確保するための最低限の基準です。……でも、それすら嫌なのです。
というわけで、労働基準法がある以上、ジョブ型雇用は広がらない。で、ここからは私の妄想ですが、きっと雇用義務を放棄できる「低賃金のフリーランス契約」が拡大するようになることでしょう。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)
新刊『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)が発売になりました!
失業、貧困、孤立――。新型コロナウイルスによって社会に出てきた問題は、日本社会にあった“ひずみ”が噴出したにすぎません。
この国の社会のベースは1970年代のまま。40年間で「家族のカタチ」「雇用のカタチ」「人口構成のカタチ」は大きく変化しているのに、それを無視した「昭和おじさん社会」が続いていることが、ひずみを生み続けています。
コロナ禍を経て、昭和モデルで動いてきた社会はどうなってしまうのか――。
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