長期化するコロナショック レナウンの次に危ない有名企業とは?ダウンサイズ化は必至(2/5 ページ)

» 2020年07月03日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

マイクロツーリズムへの違和感

 航空とともに観光業界も大きな苦戦を強いられています。

 特にインバウンド需要で潤っていた宿泊施設や長期の景気安定に支えられてきた高級宿泊施設などは、抜本的な戦略の転換を迫られているといえます。そんな中で注目されているのが、星野リゾートの星野佳路代表が名付けた「マイクロツーリズム」という戦略です。星野氏は、インバウンドを除いても20兆円規模の国内観光市場があり、それが消失することはないとしてリゾート施設周辺の住民をターゲットとしたマイクロツーリズム需要の掘り起こしが当面の生き残り策になると力説していますが、果たしてそれはどうなのでしょうか。

マイクロツーリズムは本当に需要を掘り起こせるのか?(出所:星野リゾート公式Webサイト)

 個人的には、やや虫のよすぎる売り手サイドの発想にすぎないと思います。確かに、コロナの影響で遠出が減るのは確実な動きであるとは思います。しかし、これまでも景気低迷期に入るたびに旅行のトレンドとなったのは「安・近・短」のキーワードであり、コロナ禍経済で財布のひもが引き締まれば「安」の部分が欠落したツーリズム戦略に賛同は得られにくいでしょう。

 星野リゾートの平均客単価は5万円以上ともいわれていますが、これが成立するのは都心部の高所得者層が主な利用者であったからであり、地方のリゾート周辺住民の需要をこの価格帯で喚起できるとは思えません。やはり必要なことは、航空業界と同じく、ダウンサイジングを前提としたニューノーマル・ビジネスモデルの構築ではないでしょうか。

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