長期化するコロナショック レナウンの次に危ない有名企業とは?ダウンサイズ化は必至(3/5 ページ)

» 2020年07月03日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

 路面ビジネスである小売・飲食は、自粛期間中も通常営業を継続できたスーパーなどの生活必需品業界を除いて軒並み業況悪化という状況にあります。業界的に加えて資金的余裕が少ないということ、一方身軽で動きが取りやすいということから、最もニューノーマル化への着手が早いと考えます。

 ダウンサイジング化でいえば、店舗の縮小や事業単位での売却を早々に決めた企業もありました。代表例は、アパレルのオンワードホールディングスの700店舗閉鎖、居酒屋チェーンワタミの65店舗閉鎖などです。いきなり!ステーキのペッパーフードサービスは、20年に入って既に約80店舗を閉鎖し、さらにステーキチェーン「ペッパーランチ」の事業売却を検討中との報道もあります。

緊急事態宣言が明けても、いきなり復調とはいかない(出所:ペッパーフードサービス公式Webサイト)

にわか戦略では太刀打ちできない

 ウィズコロナの新戦略については、小売ならばEC化を強化、飲食は持ち帰りおよび宅配の強化が主流です。しかしECにおいて、強いのは先行勢のようです。

 最強の存在であるAmazonの牙城崩しは至難であり、かつ楽天、ヤフー(ZOZO含む)、ユニクロなどの既存勢力もそれなりの存在感を持っている中、レッドオーシャンに丸腰で飛び込んでいったところでどれだけの勝機が見いだせるのか疑問符が付くところです。勝機のポイントは独自性をどこまでアピールできるか、その有無が新戦略の雌雄を決することになってくるでしょう。

 飲食の持ち帰り・宅配も同様で、基本は先行勢の圧勝です。マクドナルド、日本KFC(ケンタッキーフライドチキン)は、いずれもコロナの自粛期間中に大幅増収増益を記録する好調ぶりを見せており、既存の事業イメージに「持ち帰り」「宅配」が刷り込まれている企業は強い、という印象です。この先、後発組が既存イメージ組に肉薄できるか否かは、持ち帰り・宅配に本気で取り組んでいるという印象付け次第でしょう。自粛期間中の持ち帰り・宅配“にわか戦略”を、自粛解除後に主要戦略化してどこまで消費者に印象づけられるかが、ニューノーマル化戦略のカギを握っているといえそうです。

 小売・飲食業界で最も危険領域にあるのが、百貨店です。大型装置産業がゆえ、ダウンサイジングが容易でなく、00年代以降の業界をあげての経営統合・合併で一定の経営効率化は成し遂げたものの、旧態然とした催事に頼った集客&高価格販売姿勢とEC対応への遅れは致命的であり、コロナ禍による長期景気低迷による消費マインドの冷え込みに耐えられるのか懸念材料が山積しています。米国では、時代に乗り遅れたニーマン・マーカスやJ.C.ペニーといった老舗百貨店の破綻が相次いでいますが、決して彼岸の火事ではありません。今日本人の多くは、現状の百貨店に必要性を感じていないでしょう。そこをいかに転換させられるのか、それが全てではないでしょうか。

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