「新人は白シャツ」「ツーブロック禁止」 会社や学校で、“謎ルール”が存在している事情スピン経済の歩き方(2/6 ページ)

» 2020年07月21日 09時37分 公開
[窪田順生ITmedia]

「謎ルール」をつくり出す背景

 そこで次に疑問として浮かぶのが、なぜ日本のおじさんたちはワケの分からない「謎ルール」をつくり出すのかということだろう。いろいろなご意見があるだろうが、個人的には、組織の秩序を乱しそうなヤンチャな若者を大人しくさせるための「矯正教育」のような意味合いがあるのではないかと考えている。どういうことか、「ツーブロック禁止」を例にご説明しよう。

 ブラック校則に詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授がTBSのニュースで語っていたことによれば、「ツーブロック禁止の校則は2〜3年前から目立ってきた」という。比較的、新しいトレンドなのだ。

 では、世の中的にまったく問題視されていなかったのかというと、そんなことはなく、学校ではないある世界では「ヤバイ髪型」扱いされていた。それは、ビジネスシーンだ。

 2014年2月、マイナビが社会人500人を対象に「髪型がツーブロックのビジネスマンについてどう思いますか?」という質問をしたところ、「アリ」が51.6%、「ナシ」が48.4%となった。後者は「粋がってる」「見た目が怖い」という意見があった。

 なぜ天皇陛下もご愛用の清潔感漂うヘアスタイルに、ここまでネガイメージを抱く人が多いのかというと、この1〜2年前に世間を震かんさせた者たちによる影響が大きい。

 それは「半グレ」だ。

 10年秋、東京・西麻布で市川海老蔵さんがボコボコにされたことをきっかけに、「関東連合」が注目を集める。また、12年には六本木のクラブに金属バットを持った男たちによる殺事件も発生したことで、暴力団に所属せずに犯罪を行う「半グレ」という集団への恐怖が一気に社会に広まっていくのだ。

 そんな「半グレ」に対して世間が抱くイメージは「ツーブロック」だったのである。実際、今回のツーブロック論争を受けて、おぎやはぎの2人がラジオでこんなことを言い合っていた。

 「確かに、半グレの人たちってみんなツーブロックだもんな」

 このパブリックイメージが正しいことを示すような「若者のお悩み」がある。11年ごろから「Yahoo!知恵袋」に、「質問です! 企業の面接などの時にツーブロックは大丈夫なのでしょうか? 今年就活なので教えてください」というような質問がちょいちょい出てくるのだ。ちなみに、回答の多くは「まともな企業に行くならやめておけ」「就活の間だけでも封印すべき」というものだ。

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