クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ダイハツ・タフトのターボが選ばれそうな理由池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/5 ページ)

» 2020年08月03日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

地方・女性・高齢者

 今回ダイハツは少し面白い資料を出してきた。すでに国内の自動車販売において、およそ4割が軽自動車であることはよく知られているが、ダイハツの資料を見るとその分布がよく分かる。

 軽自動車の世帯あたり普及台数のベストとワースト5を見ると、次のようになっている。

ベスト5

都道府県 台数 平均年収
1 鳥取県 1.03台 387万円
2 佐賀県 1.03台 391万円
3 長野県 1.03台 459万円
4 島根県 1.01台 413万円
5 山形県 1.01台 388万円

ワースト5

都道府県 台数 平均年収
1 東京都 0.12台 620万円
2 神奈川県 0.23台 560万円
3 大阪府 0.28台 541万円
4 埼玉県 0.41台 478万円
5 千葉県 0.42台 478万円

 ピンとこない人もいるかもしれないので書いておくと、ベスト5のエリアでは、一家に一台軽自動車があり、ワーストトップの東京では10軒に1台くらいしか軽自動車がない。まあ都心部はそもそもクルマそのものを持たない人もいるが、それにしても顕著に分かれている。

 また東京都内でも、公共交通機関が不便な多摩地区や島しょ部などのエリアでは軽自動車の比率が高い。つまりひとり一台クルマが必要なエリアに行くほど、軽自動車が移動手段として選ばれているということでもある。

 登録車(軽自動車以外)と軽乗用車のユーザー比率を見ると、乗用車全体では男女比率が52:48であるのに対し、軽自動車ではこれが35:65と女性比率が高まる。

 同様の比較を年齢で切ったデータもある。乗用車全体で60歳以上と未満を分けると32:68だが、軽自動車ではこれが40:60になる。

 ダイハツは「Light you up」のスローガンの下で、人々の暮らしに寄り添う道具としてのスモールカー作りを目標にしている。筆者はこれを科学・産業の力で、人々の暮らしを向上させることだと捉えているが、そういう意味でも、ダイハツにとって、地方・女性・高齢者の良きパートナーになるクルマ作りはとても大切なことだと思う。もちろんこれら全てをタフトが引き受けるわけではなく、軽自動車全体でケアしていく構造だ。

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