「鉄印帳」が登場する以前から、鉄道では「集める」イベントが多かった。
JR東日本は7月8日に東京支社エリア内全78駅の「駅のスタンプ」をリニューアル。7月22日から8月16日まで、リニューアル記念のスタンプラリーを実施した。「駅のスタンプ」の歴史は長い。Wikipediaによると1931年(昭和6年)の福井駅に設置され、全国の主要駅に置かれるようになった。広まったきっかけは70年の国鉄の旅行キャンペーン「DISCOVER JAPAN〜一枚のきっぷから」で、全国の約1400駅に設置された。専用のスタンプノートが発売され、一定数を集めると記念品がもらえるキャンペーンが実施された。
以来「スタンプラリー」は鉄道事業者の定番イベントになった。スタンプは駅周辺の名所がデザインされている。アニメやゲームとタイアップしたスタンプラリーも多い。JR東日本は2015年にウルトラマン、20年にガンダムなど、親の世代も巻き込むスタンプラリーを展開する。ポケモンもJR東日本をはじめ毎年どこかで行われている。モンスター集めの趣向がスタンブラリーと似て親和性が高い。
19年は岐阜県の明知鉄道が発案した「鉄カード」が広まった。手本はダムカードやマンホールカード、古くはプロ野球カードのようなコレクターアイテムだ。「鉄カード」はサイズなどの規格を定めるだけ、デザインは各社の自由。整理箱やストックブックは既存のカードコレクターアイテムを流用できる。これも話題となり、国土交通省が認定する「第18回日本鉄道賞」の大賞に選ばれた。
鉄印帳の発表を知ったとき、これはヒットすると思った。後から言うとズルいけれど、根拠はある。人間には「集める」本能があるからだ。やんわりと「コレクター心をそそる」と報じたメディアもある。鉄印帳関係者も、「なんとなく集めたくなりそう」という予感はあっただろう。
しかし、そんな生やさしい理由ではないと私は思う。その理由はとても深い。人類が飢餓を経験し、食糧採集が本能として刻み込まれているからである。
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