京都市の状況はどうか。祇園商店街振興組合によると、8月の人通りは昨年の1〜2割程度だという。休日でも3割ではないかとのこと。インバウンド需要が消失して、賑わいから程遠い状況だ。それでも、「緊急事態の頃よりは若い人を中心に戻ってきている」との手応えがある。
インバウンドで潤っていた大阪・ミナミの黒門市場も似たような状況だ。こちらは復活を期し、7〜8月にかけて100円もしくは500円で魅力ある商品を販売する「ワンコイン市」を開催。コロナ禍においては、改めて日本人に対してどれだけ受け入れられる商品、サービス、空間を打ち出せるかが鍵となる。
沖縄県では昨年の8月に102万人の観光客が訪問したのに対し、今年は22万人程度にまで激減している。3割を占めていた外国人はともかく、日本人も戻っていないのがもどかしい状況だ。
そこで、那覇空港での水際対策を徹底している。
空港内に旅行者専用相談センターを設置。空港到着時、サーモグラフィーにより発熱が見られる人には、本人同意の上、体温を測定。発熱が確認されれば、保健所に問い合わせ、指定医療機関で診察の後、PCR検査を行う。陽性であれば、一時待機施設か病院に搬送される。
旅行中にも適時体調確認・検温を行い、沖縄出発時にも検温を行う。相談センターで来訪者を一元的に管理し、コロナと共存する観光のあり方を提案している。
キャンペーン開始にあたり、大半のホテル・旅館・観光施設では、ソーシャルディスタンスの実践、検温の実施、マスク着用、消毒の徹底を行っている。食事は品数が多くてもなるべく1回で運ぶようにして、接触を減らすなど、オペレーションを変更する場合もある。
また、3密を避けるために何かしらの人数制限を行うケースが多い。JR九州では、人気のクルーズトレイン「ななつ星in九州」の客席数を30席から16席に減らした。途中で下車してレストランで食事をするためだ。
大阪で人気となっている日本最大級の水族館「海遊館」でも、ソーシャルディスタンスを保って営業しており、入館者数を昨年の20〜30%に絞っている。
8月後半以降、感染者数が減り始め、東京都のキャンペーン追加や、Go To イートの実施も検討されている。コロナを克服したと人々が実感すれば、Go Toキャンペーンが本来のポテンシャルを発揮するようになるのではないだろうか。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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