日本進出はいつ? 緊急時に命を救う「AI診断」 次世代ユニコーン「コルティ」の挑戦生死を分ける(6/6 ページ)

» 2020年09月04日 07時34分 公開
[小林香織ITmedia]
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日本市場への進出は、間違いなく2年以内に

 日々、目まぐるしく情報が変化するヘルスケア業界において、精度の高いサービスを提供し続けるのは並大抵のことではない。AIが人間を超える正確率で診断した事実があっても、収集するデータ量や質が変われば「診断結果は瞬時に変化する可能性がある」という懸念を持ちながら、コルティのメンバーは日々、サービス開発に向き合っているそうだ。

 「ヘルスケア分野でAIを扱う限り、100%の精度で診断することはありえません。なぜなら、患者の会話は日々変化するものだから。緊急時の会話であれば、なおさら。それほど医療は繊細なエリアなんです。

 加えて、世界の医療機関は、まだ意思決定をサポートするツールに出資することに慣れていません。今回のパンデミックでヘルスケア業界には革命的な変化が起こり、最適な診断方法を再考すべきタイミングにきています。これは私たちにとっては絶好の機会であり、デジタル診断の大規模な流入を見込んで開発を進めています」(クリーブ氏)

クリーブ氏は日本進出も検討している

 日本進出にも意欲を見せるコルティにとって、現在の課題は「ベストな現地パートナーを見つけること」だという。

 「日本のヘルスケア業界は非常に発達していることで知られており、豊富なデータを保持しているはずです。私たちにとってはハイクラスの医療スキルと膨大なデータ量こそがサービス向上のカギ。だからこそ日本進出には高い関心があり、2年以内には間違いなく日本でのサービス導入を叶えているでしょう」(クリーブ氏)

 「僕らが研究開発している自動音声認識は、日本のように人口の大半が単一言語を話す国ではより正確な診断が見込めるため、より高い効果が見込めます。導入のためには、パートナーとなる救急コールセンターを見つけることが先決。デンマークで培った技術を利用して日本のヘルスケア業界の課題解決に貢献できれば、嬉しく思います」(乾氏)

 日本でも、新型コロナにより「オンライン診療」や「オンライン健康相談」の必然性が急激に高まり、埼玉県では4月からチャット形式による「埼玉県AI救急相談」が導入された。命を救うコルティのAI診断が、日本に上陸する日はそう遠くないかもしれない。

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