日本進出はいつ? 緊急時に命を救う「AI診断」 次世代ユニコーン「コルティ」の挑戦生死を分ける(2/6 ページ)

» 2020年09月04日 07時34分 公開
[小林香織ITmedia]

緊急時における“セカンドオピニオン”

 コルティのAIは、トリアージの際に電話口の患者の声や呼吸、雑音などの音声情報と位置情報をリアルタイムで解析し、患者の容態とその後の治療に関する推奨事項をテキストで表示する。緊急時における“セカンドオピニオン”というわけだ。

 現在、同社のサービスはデンマーク、スウェーデン、フランス、シアトルで継続的に導入されているほか、イタリア、英国、オーストラリア、ニュージーランドでも導入、検証実績がある。

 「人間よりも早く正確に診断できる」という事実は過去のデータが証明しており、2014年にコペンハーゲンで発生した16万1000件の緊急通報を分析した結果、その年には2000件の心停止の通報があり、ディスパッチャーの診断正確率73%に対して、コルティのAIは93%の精度で症状を特定した。そのうえ、ディスパッチャーより平均して30秒早く診断したのだ。

 患者が病院外で心停止を起こした場合、心肺蘇生法を施さなければ1分経過するごとに生存率が7〜10%低下すると言われる。これらを踏まえると、コルティのサービスは「命を救うAI」と言っても過言ではない。

 「私たちが提供しているAIは、人間よりも精度が優れているというデータがあるものの、医師の代わりになるのではなく、あくまでセカンドオピニオンという立ち位置です。もっとも多いのは心臓発作の実績ですが、症状を限定せず、どんな病気に対してもアプローチが可能です」(クリーブ氏)

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