日本フードサービス協会によると、緊急事態宣言の影響で生じた飲食業界の売り上げの落ち込みは、過去最大規模だという。外食産業は不動産や自社の物件を持たず、ほぼ100%に近い店舗が賃貸で営業しているため、協会では政府などに対し家賃の支援を店舗単位で行うように求めている。協会の石井滋常務は、業界の現状を次のように説明する。
「都心の繁華街にある酒を提供する店舗では、午後10時までの営業短縮要請が解除されても、すぐにはお客さんは戻らないとみています。お客さんがパッと切り替えて飲みに出る雰囲気には、まだなっていないと思います。しばらく様子を見る感じではないでしょうか。
飲食店の収益構造は、売り上げの約10%を家賃が占めています。家賃は光熱費のようにコントロールができず、売り上げがなくても支払わなければならないので負担は重いです。それに営業再開後も席数を半分にしているので、元通りの売り上げには戻りません。売り上げが10%下がると赤字になるビジネスなので、今後も厳しい状況が続くと思います。政府が始めたGo To Eatキャンペーンも、果たしてどれだけ経済効果があるのかは分かりません」
農林水産省が実施するGo To Eatキャンペーンは、期間中にオンライン飲食予約サイト経由で飲食店を予約し、来店した消費者に、飲食店で使えるポイントを一人当たり最大1000円分付与する。また、登録飲食店で使える2割相当の割引がついたプレミアム付食事券も発行する。事業は今月から来月にかけて、各地で順次始まる予定だ。
しかし、予定されている仕組みによって、苦しんでいる飲食店に支援が届くのかは不透明だ。飲食店は日本のサービス産業の中核を担い、雇用も支えてきた業種。新型コロナの感染再拡大で悪化した現状に即した支援を、改めて考える局面にきているのではないだろうか。
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