シートリップなどオンライン旅行会社のレポートでは、高級宿泊施設の予約が急速に回復していることが指摘されている。実は自動車業界でも日本車やドイツ車の販売回復が早く、経済回復格差も生じているようだ。
さらに、ライフスタイルの本質的な変化の芽も見える。高徳地図のビッグデータによると、10月1日に他都市に移動した消費者は35%。残りの65%は居住している都市から移動しなかった。一方で高徳地図と連携している配車サービスの利用は大きく増えており、近場での行楽を選んだ人が多かったと推測できる。
北京市在住の男性会社員(24)は、国慶節は友達との食事以外に予定を入れていない。コロナ禍で前職の業務が麻痺したため、2月末に書類審査だけで内定をくれた今の企業に転職した。だが今も新しい職場になじめず、焦って転職したことを後悔している。
彼は「何もせずに、先のことをゆっくり考えたい。猫を飼っているから、そもそも数日間の旅行は難しい」と語った。
ラオックスを傘下に持つ家電量販店大手の蘇寧易購は10月1日から総額50億元(約750億円)のクーポンを配布し、セールを実施。同日1日だけで、5Gスマホ4万台が店頭で売れた。ほかにも食器洗浄機が前年同期の4倍近く、フットバスとマッサージチェアが8倍以上売れているという。
外出・旅行意欲そのものは、中国全土で外出制限が解除された春先の方がより強かったようにも感じる。中国は今冬の第二波のリスクが残るものの、現在は入国者以外では新規感染者がほぼ出ていない。それでも巣ごもり家電が売れているのは、生活スタイルが変わり、ニューノーマルを模索している人が多いことを反映しているのだろう。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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