Bリーグは、プロ野球とJリーグを超えられるか? 「B・J業務提携」の読み解き方池田純のBizスポーツ(2/5 ページ)

» 2020年10月20日 05時00分 公開
[池田純ITmedia]
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業務提携の難しさとは?

 業務提携の難しさは、協業の構造(義務と責任)が曖昧であるがゆえに、お互いの強みの価値が「イコール」ないしは「ニアリーイコール」でないと成り立たない点にあります。例えばA社とB社があって、それぞれ「AX」と「BX」という強みがあったとしましょう。これをお互いに共有できて、初めて提携に価値が生まれます。または、A社とB社が全く異なる業界・業種の企業で「AX」と「BY」という異なる強みを持っていれば、これもお互いの利益となり得るでしょう。

 繰り返しになりますが、企業同士の協業は「Win-Win」の関係にあって初めて成り立つものなのだと私は考えます。AX>BXで、お金の流れだけがB→Aとなるようではいけません。同業界内の業務提携に意味があるとすれば、将来的な合併を見据えている場合であり、住友金属工業と新日本製鐵がかつて行った業務・資本提携は、その代表例ではないでしょうか。いわば結婚を前にしたお互いを知る期間、同棲みたいなものです。そうした先を見据えた契約なら、提携もまた一つの有効な協業の形となり得ます。要は業務提携の先、ゴールをどう最初から見据えているのかが大切なのです。

 ここまでで述べたのは、業務提携における一般的なメリットと留意点です。そこで、冒頭に戻ります。実は、私がスポーツビジネス界の「気になるニュース」として触れたのは、8月末に発表されたBリーグがJリーグと業務提携したという話題です。その中身は、公式映像の品質向上を目的にJリーグ内に「Bリーグプロダクション」を設置し、Jリーグが持つ映像制作のノウハウを活用して20〜21年シーズンからBリーグの全公式戦の映像を制作するというものでした。

Bリーグの島田慎二チェアマン(出所:同氏が運営するnote)

 ここで着目したいのは、これをどう解釈すれば良いのかという点です。競技の枠を超えたプロリーグの映像制作に関する共同の取り組みは、日本スポーツ界でも画期的なものであり、システム投資や各所との関係構築を効率化できるメリットもあるでしょう。B3さいたまブロンコスの経営も見ている私は、とても大きな期待感を持って成り行きを見守っています。

 一方で、留意しなくてはいけないのが、明確な主従関係が今後生まれるのかどうかという点です。

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