Bリーグは、プロ野球とJリーグを超えられるか? 「B・J業務提携」の読み解き方池田純のBizスポーツ(5/5 ページ)

» 2020年10月20日 05時00分 公開
[池田純ITmedia]
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 ブロンコスの経営に携わって感じるのは、とにかく地域との接点、地域の人に試合を見せる接点が欲しいということです。テレビ埼玉やJ:COM埼玉で制作したホームの試合の映像を流して、まずはバスケットボールに触れてもらう。そして、自分から情報を取りに行くようなファンになってもらう。スポーツの発展には、そうしたステップが不可欠です。Jリーグより後発のBリーグを独自に発展させる観点では、いっそ在京キー局という“異業種”とJVを設立するのも面白い。地域との接点づくりが大きな課題である以上、JVをつくって全ての系列局に流す――という戦術はBリーグならではの“強み”になる可能性もあります。

 「自分たちだけでは得られなかった“果実”が得られるから」「利益だけではない新しい領域でのビジネスチャンスが広がるから」。日本的なフワッとした、取りあえずの形に陥りがちな業務提携ですが、本来はそうした目的と“したたかなゴール”を見据えて結ぶべきものだと私は考えています。BリーグとJリーグの業務提携も将来的なJV設立や、さらに言えばダンスや麻雀など野球以外の“リーグもの”の放映権全てを一括管理するくらいの大きな視点を持って考えられているものだとしたら、提携には大きな価値が生まれるはずです。

 バスケットボールは、まだまだ発展への伸びしろがどのスポーツよりも大きい世界だと感じています。Jリーグ、そしてプロ野球をも、Bリーグには超えてもらいたい。だからこそ、今回の提携が“したたか”に、良い方向に進むことを切に願っています。

著者プロフィール

池田 純(いけだ じゅん)

早稲田大卒業後、博報堂等を経て2007年にディー・エヌ・エーに参画。

2011年に35歳という史上最年少の若さで横浜DeNAベイスターズの初代球団社長に就任。

2016年まで社長を務め、さまざまな改革を主導し球団は5年間で単体での売上を倍増し黒字化を実現した。

退任後はスポーツ庁参与、明治大学学長特任補佐、Jリーグや日本ラグビー協会の特任理事等を歴任。

現在は(一社)さいたまスポーツコミッションの会長、

B3リーグ・さいたまブロンコスのオーナー兼取締役を務める一方、大戸屋やノジマ等企業の社外取締役からITやゲーム業界、スタートアップ等の顧問も務める。

池田純公式サイト「Plus J」: https://plus-j.jp/


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