庵原: コンセプトは「シェフが手鍋でつくる味を再現」。しかし、これを実現させることがものすごく難しいことが分かってきました。通常、メニュー開発はどのようにして行われるのか。例えば、専門料理店で提供されるハンバーグをつくってみようとなった場合、フライパンや鍋などを使ってレシピを完成させるわけですが、この時点で難しい。どういうことか。
開発段階で1リットルの鍋を使っていても、セントラルキッチンでは60リットルの鍋を使っているんですよね。それでも同じ味を出すことに難しさがあるんです。調理器具の大きさが違えば、プロセスは同じでも仕上がりが全く違ってくるんですよ。
土肥: ロイヤルホストで調理する場合、店舗でシェフの手が入るので、ラストワンマイルを任せることができる。しかし、ロイヤルデリの場合、素人が行う。例えば「湯煎7分」と書かれていれば、それを行うだけでシェフがつくった味を再現させなければいけない。ここに難しさがあると?
庵原: はい。シェフがつくった味を再現させるには、“逆算”の発想が必要になってくるんですよね。「湯煎7分」であれば、そのためにセントラルキッチンでどのくらいの硬さでつくらなければいけないのかといった感じで。
少し細かな話になりますが、「チキンカチャトーラ」(780円)という商品があるんですよね。この商品の特徴は、酸の香りが強いこと。しかし、冷凍したり、時間がたったりすれば、香りのチカラが落ちてくる。シェフがレストランのキッチンでつくって、「はい、どうぞ」と提供したときと同じ酸の香りを出さなければいけません。この塩梅(あんばい)がものすごく難しいんですよね。
土肥: その課題をどのようにして解決したのですか?
庵原: 基本的には調整するだけ。「ああでもない、こうでもない」と調味料や火加減などを少しずつ変えていきながら、レシピを完成していかなければいけません。
土肥: いま、目の前に「チキンカチャトーラ」が出てきました。(においをかぐ)くんくん。た、確かに、酸の香りが漂ってきます。この香りを出すために、現場の方の苦労があるわけですね。
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