上司としては、緊張感をもって会議に臨んで欲しい、時間を無駄にしたくない、そんな思いなのかもしれません。しかし残念ながら、伝わっているのはその思いではなく威圧的な雰囲気や微妙な空気です。上司自身も自分が隠れ無惨化していることに気づいていない可能性がありますが、不幸なのは、威圧感が壁となって誰もそれを上司に指摘できないことです。
「それを始末したから何だと言うのか?」「鬼が人間に勝つのは当然のことだろう」――これは、ある手柄を報告した鬼を冷たくあしらう鬼舞辻の言葉です。例えば営業職として顧客からの受注を獲得した社員が、上司から次のように言われたらどうでしょうか。
「それが何? 普通に営業していたら、それくらい受注できて当たり前だろう」
こんな上司とは一緒に仕事したくない、と思ってしまいそうです。上司としては、発破をかけているつもりかもしれません。しかし、言われた方は受注に至るまでの努力、費やした時間、引いては自分の存在そのものが全否定されたような気持ちになります。
ひょっとすると、上司としては小さな成果で満足するのではなく、もっと大きな成果を狙って欲しい、という思いがあるのかもしれません。それであれば、以下のように伝え方を変えるとニュアンスも異なります。
「そうか。でも、キミの力ならそれくらい受注できて当たり前だと思っている」
手柄を評価してもらっていない点は同じですが、「全否定」ではなく、営業としての力量を認めていることがやんわりと伝わります。加えて、「自分はもっと大きな成果を期待されているのだ」と、ポジティブに受け取ることもできるかもしれません。
世の中には、隠れ無惨ではなく、単に伝え方が苦手なだけの上司もいます。表面的な言葉だけで決めつけてしまうと、上司が本当に伝えたかったことを取り違えてしまったり、自分が不必要に傷ついてしまうこともあるでしょう。もしあなたの上司が隠れ無惨でないのであれば、一時的に誤解が生じたとしても、何度もコミュニケーションを重ねることで、少しずつ真意が伝わるようになってくるはずです。
その点、鬼舞辻の場合は真逆です。
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