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ワタミ清水邦晃社長「居酒屋市場に淘汰が起こる」――ニューノーマル時代をいかにして生き残るか「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(6/7 ページ)

» 2020年11月13日 10時33分 公開
[武田信晃ITmedia]

ウィズコロナ時代のメニュー

――貴社が打ち出す「ウィズコロナ時代のメニュー」とは何なのでしょうか? その狙いは?

 居酒屋でも「あの居酒屋に行きたい」「あのメニューが食べたい」というニーズもありますが、焼肉店ですとそれなりの値段がしますね。一方、居酒屋なら焼肉のような料理を食べても1人2500円ほどで済みます。なので、「あまりお金を掛けずに焼肉が食べられる」というニーズが得られると考えています。

――今、からあげ専門店「からやま」など鶏肉をメインにした業態が伸びていますね。とすれば、鳥メロをさらに伸ばすという方法は考えなかったのでしょうか?

 店の大きさを考えていただくと分かりますが、からあげの業態に使用するにはあまりにも大きいのです。例えば30〜40坪であれば鶏肉に絞ったメニュー展開をしていくでしょうし、十分集客できたでしょう。都心の大型店舗は宴会を取っていたという経緯もあり、非常に苦戦しています。100坪ある店を、からあげだけで埋めるのは厳しいです。50坪という大きさが1つの目安となりますね。

――業態変更の勝算は?

 もちろんあります。わざわざ焼肉店に行かなくても、「ちょっとおいしいものを食べたいな」という日常的なニーズに応えていける自信があるからです。一方で、「いつもこれで大満足」ということはありませんので、今回作ったメニューをどんどんブラッシュアップさせたり、より違う商品を導入したりしていくことも考えています。

――最後に、残業代の一部の未払いで9月に高崎労働基準監督署から是正勧告が出ました。貴社は労働問題でさまざまな批判にさらされてきましたが、この件も含めて今後どういった対策をしていくのでしょうか?

 過去に問題を起こしてから労働問題に対しては真摯に向き合ってきました。正さなければいけないところは正すというスタンスは変わっていません。ご指摘があったことに対して最善を尽くして対応させていただきます。

 労働問題に対してはこれだけの社員がいますので、いろいろなご指摘や問題もあると思います。そこはきっちりと真っすぐに向き合って改善していくことしかないと思っています。社員にも申し訳なく思っていますから、向き合って改善していきたい……それに尽きます。

phot 労働問題について聞いたとき、清水社長は正面から質問に答えた

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