「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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新型コロナウイルスの影響を最も大きく受けたのは飲食業界だ。東京商工リサーチによると、新型コロナ関連で経営破綻した企業を業種別にみると飲食業が103件と突出している。
業態の特性上、客に来店してもらいお金を落としてもらうビジネスモデルであるため、日本をはじめ世界中の飲食チェーン店の閉鎖が相次いでいる。そんな中、外食チェーン大手のワタミが主力の居酒屋から焼肉業態の「焼肉の和民」へと転換することは、経営にあえぐ飲食業界を象徴する出来事ともいえる。
ワタミの2021年3月期の第1四半期(2020年4月〜6月)の売上高は44.3%の減少、最終損益は45億5000万円の赤字だった。通期の業績については「合理的に算定することが困難」だとして「未定」としたものの、第1四半期の赤字を吸収できるかは不透明だ。
同グループが記者発表会で配布した資料によると、ワタミの国内外事業の既存店売上高の対前年比は20年2月には101.2%だったものの、3月に59.6%に急落。緊急事態宣言が出された4月は7.5%、5月は7.2%と壊滅的な状況だった。宣言解除後の6月は31.1%と回復基調に入ったものの、10月も59.8%までの上昇にとどまっている。
今後は何を目指していくのか。ワタミグループの22年3月期中期長期計画によると22年3月期に売上高1000億円、営業利益30億円、25年3月期が同1500億円、同60億円、29年3月期では同2000億円、同100億年との目標を掲げている。そのために生産性を向上し、FC展開を加速することなども打ち出した。
ワタミの清水邦晃社長は「居酒屋マーケットは7割に縮小する」と予測している。その清水社長がITmedia ビジネスオンラインの単独インタビューに応じた。
記事の前編「焼肉への業態転換を図るワタミ 清水邦晃社長が語るアフターコロナでの勝算」では、同社が運営する「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」でグランドメニューを改定した意図や戦略変化の理由をレポートした。後編では密になりがちな居酒屋からの業態変更を発表した同社がニューノーマルと呼ばれる状況下で、いかなる戦略を取っていくのか、一問一答の形でお届けする。
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