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ワタミ清水邦晃社長「居酒屋市場に淘汰が起こる」――ニューノーマル時代をいかにして生き残るか「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(3/7 ページ)

» 2020年11月13日 10時33分 公開
[武田信晃ITmedia]

前年比7割達成の「その先」は?

――7割で黒字化を達成するのは貴社の企業努力で何とかできるようにも思われますが、そこからさらに利益を伸ばしていくにはどうするのでしょうか?

 新型コロナウイルスの影響も22年の3〜4月ころには薄れ、通常に近い状態に戻ると予想していますので、そこまでどう持ちこたえるのかが肝要だと考えております。そこまで持ちこたえられれば、居酒屋市場の中での淘汰が起こり、残存者利益も出てくると思います。

 居酒屋マーケットは縮小すると思いますが、一定の規模は残ると考えておりますので、その中で「ワタミに行こう」と思ってもらえるような状況を目指していきたいです。(創業者の)渡邉美樹会長も「祖業である居酒屋をなくすことはない」と断言していますから。

――22年まで耐えるとのことですが、規模感は変えないということでしょうか? これまでの規模は守り抜くという意味ですか?

 主力は焼肉になるので居酒屋の規模感を守り抜こうとは考えていません。居酒屋は120店まで転換すると宣言していますので、ミライザカや鳥メロは100店ほどに減るかもしれませんが、もし居酒屋のニーズが回復してくればその時は強化したいとも考えています。

 鳥メロは単価が安い分だけ若い消費者に来ていただいていて、他の業態と前年比で比べると上にあります。当社から独立したオーナーたちが鳥メロの業態を経営している人が多いので、ここを多少強化して展開できることがあれば進めていきたいです。

 「本当に牛肉メニューがいいのか?」「大衆的なメニューがいいのか?」。今はそういった基本的なことを常に自問自答しながら、「朝令暮改は当たり前」くらいの気持ちで経営をしています。

phot コロナ禍で牛肉を使った新メニューを打ち出すワタミ

――安さに魅力を感じて居酒屋に来店していた客もいると思います、一方で焼肉のメニューは価格も高いので、足を運びにくくなるのではないでしょうか?

 新メニューを取り入れることによって客単価が上がってしまうことを心配していました。通常は客単価が2%上がってしまう試算をしていますが、今回は1カ月かけてキャンペーンなどをすることと、圧倒的な仕入れ量で原価を低減できているので、客単価の上昇は1.5%に抑えられると想定しています。

 素材そのもので料理を出すと価格が上がりがちですが、居酒屋風のメニューにするために素材を加工すると原価率を低減できるので、そこは工夫をしています。

phot 三代目鳥メロ 黒毛和牛肩ロースの炙り寿司 888円(以下、税別)
phot ミライザカ 厚切り牛タン焼き 699円

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