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ワタミ清水邦晃社長「居酒屋市場に淘汰が起こる」――ニューノーマル時代をいかにして生き残るか「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(4/7 ページ)

» 2020年11月13日 10時33分 公開
[武田信晃ITmedia]

新メニューを開発し続ける

――素材を加工するということですね。ということは新メニューの開発をし続けていくということですね。業態を変更するにあたって仕入れにも影響を与えそうですか?

 現在の業態の割合を見ると居酒屋が多く、居酒屋での素材の仕入れ量が原価にも影響を与えます。今までは「仕入れが多い居酒屋でも素材を使うので、焼肉屋で使う肉の原価を安くしてもらえませんか?」と交渉することがありましたが、今後は焼肉と居酒屋の仕入れ量が逆転します。仕入れ量が多い居酒屋が減り、原価が上がる可能性もあるので、バランスを取りながら経営していきたいと考えています。

――今までは「立ち寄りやすい」のが居酒屋でしたが、今後、目指すイメージも変えていくのでしょうか?

 和民はより多くのお客さまに安らぎの空間を提供するというコンセプトがあるので、焼肉の和民とのポートフォリオをうまく組み合わせながら経営していきたいです。「より良いものをより安く」というのが居酒屋に求められていて、特にチェーン店にはそのニーズを求められていると思いますので、気軽さを追求していきたいです。

――ミライザカと鳥メロでは鶏肉が看板メニューです。そこで牛肉を出すというと、鶏肉と牛肉でブランドイメージがぼやけてしまうのではないですか。価格設定でも、ブランディングでも1つ間違えるとどっちつかずになる。

 そこは私たちも非常に悩んだところでした。牛肉には“ごちそう感”があります。今は何か目的があって来店する人が多いので、牛肉のごちそう感は捨てがたかった。もし牛でだめなら違うものに取り組むなど臨機応変に対応してニーズをつかめるようにさまざまなチャレンジをしていきたいと思います。

 確かに「焼鳥店なのにバラバラのメニュー構成になって迷うんじゃないか?」という声もありました。ですが、お客さまの来店頻度が下がっている今、居酒屋に行きたいと思わせる理由がいくつかはないとなかなか来ていただけない。鶏肉と牛肉の2枚看板を持つことで補いたい。客数が増える仕掛けを作っていくべきだと考えています。

phot 三代目鳥メロ 牛カルビ大串〜特製ダレ〜 199円

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