スーツに見える作業着は、なぜ3倍ペースで売れているのか水曜インタビュー劇場(水道工事公演)(4/5 ページ)

» 2020年11月18日 08時05分 公開
[土肥義則ITmedia]

同じような商品が登場

関谷: で、スーツも同じではないかと思ったんですよね。当初、水道の工事会社が服をつくることに対して、さまざまな声がありました。「そんなモノは売れないよ」「商売をなめているのか」といった指摘がありましたが、その後売れている。売り上げ規模は違いますが、専門外のアップルが時計市場に進出したように、水道の工事会社が服をつくってもいいのではないかと考えるようにしました。

レディース商品も扱っている

 話が脇道にそれてしまいましたが、なぜリアル店舗は10拠点なのか。アップルの製品は家電量販店でも見ることができますよね。周囲にも製品を持っている人がいるはずなので、その人に見せてもらえばいい。それでも、多くの人がアップルストアに足を運んでいる。

 ワークウェアスーツの場合も「生地を実際に触ってみたい」「購入前に着てみたい」といった声が多く、リアル店舗を構えました。今後は東京のほかに、大阪、名古屋など全国に10拠点ほど展開できればなあと。アップルストアのようにショールーム的な役割で、広げることができればと思っています。

土肥: ふむ。主戦場はこれまで通りネットで販売して、その補完的な意味でリアル店舗を展開していくわけですね。話は変わりますが、スーツ風の作業着で検索すると、さまざまな商品がヒットしますね。紳士服メーカーが出していたり、作業着メーカーが展開していたり。各社「シワになりにくい」「持ち運びが便利」「着ていて楽」といった点をアピールしていますが、こうした動きに脅威を感じませんか?

関谷: 全く感じていません。なぜ断言できるのかというと、2つの強みがあるからだと思っています。1つめは、素材に特徴があること。当社の場合、「Ultimex(アルティメックス)」という生地を使用していて、2年間の現場検証を経て完成させました。

土肥: 資料を見ると、はっ水性があって、速乾性があって、ストレッチ性があって……(以下、略)。

関谷: 商品カタログをよーく見ていただけますか。あれこれ出していませんよね。そして、素材はすべて同じ。同じ素材でつくっていることが、当社の強みの一つだと思っています。一般的に服の原価率は20〜30%と言われていますが、当社の場合は40%ほど。同じ素材の服を大量につくっているので、他社は「この価格で、この品質か」と感じて、同じようなクオリティーを出すことは難しいのではないでしょうか。

 2つめは、ブランドストーリーがあること。繰り返しになりますが、当社は水道工事に携わっています。そのような会社が服をつくったというストーリーはどこも真似できませんよね(笑)。シャツ一枚つくったことがない会社が素材を開発しましたので。

土肥: そこなんですよ。アルティメックスという生地を触って「やらかいなあ」「確かに水をはじく」といったことは分かるのですが、他社が同じようなモノをつくることは難しいのでしょうか?

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