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デジタル人材だけでは、DXは実現しない 必要不可欠「ブリッジパーソン」の育て方連載・デジタル時代の人材マネジメント(3/3 ページ)

» 2020年11月25日 07時00分 公開
[岩田紗季ITmedia]
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 コニカミノルタでは自社を機器メーカーではなく課題提起型カンパニーへと再定義し、事業の変革を目指す中でデザインシンキングの社内浸透を進めている(※4)。デザインシンキングの浸透にあたり同社が目指す姿は、「各事業のプロジェクト全体にわたって実践行動が当たり前に行われている姿」である。創造的実践行動の指導者・推進者のリーダーを「デザインシンカー」とし、そのような人材が組織のそこかしこに散らばる状態を作り出し、高い価値を常に生み出し続ける企業となることを掲げている。

(※4)青嶋稔「マーケティング機能再構築(第3回)デザイン思考による技術部門とマーケティング部門の融合」『知的資産創造』第27巻第10号:78-99

 同社が育成する人材については、以下の3つのタイプを想定している。

  • (1)指導者としてのプロジェクト・リード人財

 オペレーションシステムとしてのデザインシンキングを理解し、必要な人財を巻き込み、ビジネスと実現性をつないで、プロジェクトの全体計画、設計をリードする人材

  • (2)アクティビティ・リード人財

 デザインシンキングの各プロセスを計画し、中心になってチームのCreative Dancing(試行錯誤しながら顧客と価値協創するステップ)をリードする推進者

  • (3)アドホック・コラボ人財

 デザインシンキングの基本的な考え方を理解し、コアメンバーあるいはアドホックとして都度プロジェクトに参加することで創発に貢献できる実践者

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 デジタルビジネスの推進には、デジタル人材だけでなく、ブリッジパーソンの獲得が不可欠である。それは社内にいるビジネス人材をブリッジパーソンへと育成することでも、外部から人材を獲得することでも実現できる。一方で、会社全体としてDXを推進し企業の提供価値を変革していくためには、全社員を対象とした再教育や、変革を進められる経営層の獲得が必要である。DXにより企業の在り方を再定義するためには、全社員・全階層を対象とした人材戦略のトランスフォーメーションが欠かせない。

著者紹介:岩田 紗季(いわた さえ)

株式会社野村総合研究所 コーポレートイノベーションコンサルティング部 組織人事・チェンジマネジメントグループ コンサルタント

慶應義塾大学法学部法律学科卒業、2017年野村総合研究所入社。国内大手企業の人事制度統合、評価制度改革、デジタル人材の処遇検討などのプロジェクトに従事。専門領域は人事・人材戦略、人事制度設計、運用支援。

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