ソニーに聞く、ジョブ型制度の運用方法 ポイントは「現在の役割で格付け」2016年から導入(1/3 ページ)

» 2020年11月11日 07時00分 公開
[人事実務]

人事月刊誌『人事実務』〜これからの働き方とキャリア形成〜

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 本記事は『人事実務』(2020年10月号)特集「『ジョブ型制度』とは?」より「事例 ソニー」(取材・文 中田正則)を一部抜粋、要約して掲載したものです。

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ジョブグレード制度の導入で、組織・人材に関する課題を解消

 ソニーにおける現行の人事制度であるジョブグレード制度は、まず2015年に等級制度が導入され、それに基づく評価制度が、翌2016年からスタートしている。

 「等級制度を導入した当時は、非常に厳しい経営状況にあったうえ、人員構成の偏りを中心に、平均年齢の上昇、平均年間給与の上昇、管理職比率が約4割と高いなかで次世代の登用機会が少ない、といった構造的な課題がありました。

 また、スピードの低下、カルチャーの保守化なども進むのではないかという課題意識ももっていました。そうしたなかで経営改革を断行し、組織・人材に関する課題を解消して、よりよいソニーを次の世代に残そうという目的で人事制度の改革を実行しました」(同社エレクトロニクス人事部門・人事企画部・報酬 Gp 統括課長の陰山雄平氏、以下同)

photo ジョブグレード制度を導入しているソニー=写真は同社提供

 このジョブグレード制度では、管理職比率が半減(4割→2割)したほか、過去の実績にとらわれず、現在の役割で格付・評価する運用を徹底、年功要素の完全な廃止、などが大きな特徴となっている。

 また、この制度の全体像としては、評価制度、報酬制度、人材育成・キャリア施策をはじめとする人事関連諸制度全ての核に「ジョブグレード」があるという位置付けである。

 なお、同社のこれまでの等級・処遇制度の変遷をみると、ざっくりいえば2000年代までは職能資格制度の下、職務遂行能力をみるという形で基本的に全員の処遇が「上がり続ける」仕組みだった。これが2004年にVB/CG制度となって期待貢献に応じて、管理職層(VB)は「変動する」、一般職層(CG)は「上げ止まる」仕組みに変わった。そして今回のジョブグレード制度では、現在の役割に応じて全員が「変動する」という仕組みになっている(図表1)。

photo 図表1 等級・処遇制度の変遷

 以下では、ジョブグレード制度の詳細を紹介していこう。

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