まず、ジョブグレード制度における等級制度は、“人”ではなく“現在の役割”に格付けするという考え方をとっている。それ以前は、過去の実績や将来の期待要素を含む“期待貢献”で格付けしていたが、「現在」の役割を時価処遇することがフェアな等級制度であるとの考えから、この方式に改めた。
等級はいわゆる複線型で、I(インディビジュアルコントリビューター)等級群とM(マネジメント)等級群の2つの等級群に分かれている。I等級群を、ソニー社員がキャリアを構築するうえでの基本等級群としている。グレードは数字が大きくなるほど上位となる(図表2)。
「特にエンジニア中心の会社でもあるので、統括職の道だけではなく、専門性に応じた役割等級群を持つことで、社員のキャリアの選択肢を広げています。具体的にはI6以上は上級Iグレードとして、高度な専門性を用いて貢献を果たす役割と定義しており、その専門性などを厳格に審査したうえで任用するというプロセスを踏んでいます」
等級格付に際しては、職群別に各グレードに求められる職務などを記述した等級定義書が定められているほか、その定義を構成する7つの要素(専門知識、事業の知見、リーダーシップ、問題解決、影響の性質、影響の範囲、対人スキル)に分解した「7ファクターリスト」も設けられており、これらを参照しながら格付けしている。
ジョブグレードの認定のステップとしては、まず組織のなかで役割・重要度などを定義した後、それに社員をマッチングし、全体の調整を経てジョブグレードを付与する(図表3)。
この等級制度では、役割が変動すれば、その都度グレード改定(随時改定)を行うのが原則だ。実際の運用としては、毎月1回随時改定を行っている。また、漸進的な役割の変化やジョブサイズの変化を見直し追加的に反映するために、毎年1回定時改定を実施している。
なお、管理職とそれ以外の一般社員、あるいはIグレードとMグレードについては、いずれも垣根がなくシームレスに行き来できる体系となっている。
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