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» 2020年12月09日 08時00分 公開

「社長の住む街1位」が田園調布や成城でなく赤坂である意外なワケ“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)

[加谷珪一,ITmedia]
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 昭和の時代であれば、ビジネスモデルの変化も緩やかで、社長さんは「上がり」のポストとして鷹揚(おうよう)に構えることができた。だが近年はグローバル化やデジタル化の進展で、企業トップが積極的に動き回り、組織をリードしていく役割が求められる。つまり、ソファにふんぞり返っているだけでは、社長の仕事は務まらない時代に入っているのだ。

コロナでも職住接近は続く?

 こうした時代における企業トップは機動力を優先した方がよく、必然的に職住接近となる。世界のIT産業が集積する米国カリフォルニア州のシリコンバレーは青い空がどこまでも広がる場所で、東京とはまるで環境が異なるが、職住接近という意味では同じである。

 西海岸はクルマ社会であり、マンションなどはほとんど存在せず、戸建て住宅ばかりだが、世界クラスの大富豪や高所得なIT技術者が近いエリアに集まって住んでいる。シリコンバレーはIT業界を象徴する街であり、ITを使えば離れていても仕事ができるはずだが、現実は逆で、むしろ人口は集約化している。

 つまり近年は人が集まる傾向が顕著だったわけだが、コロナ危機の発生でこの動きに変化は生じるのだろうか。東京商工リサーチでは、「感染防止対策として「職住近接」が加速している」としており、利便性の高いエリアへのニーズは高いと分析している。

 コロナ以降、東京の人口が減少に転じているが、これは仕事を失った人が出身地などに帰っていることが原因であり、リモートワークをきっかけとした郊外移転が進んでいるとまでは言えない。また企業の幹部ともなれば、イベントへの出席や会合などもあるので、全てをリモートで済ますというワケにもいかないだろう。

 世の中ではコロナをきっかけに一気に郊外シフトが進むという見方があるが、社長さんなど高額所得者に限っては、都市部への集約化が当分、続くと考えた方が自然だ。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「貧乏国ニッポン」(幻冬舎新書)、「億万長者への道は経済学に書いてある」(クロスメディア・パブリッシング)、「感じる経済学」(SBクリエイティブ)、「ポスト新産業革命」(CCCメディアハウス)などがある。


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