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独自で強い仕事のために、「客観を超えて主観を持て」偉大な事業家は(3/4 ページ)

» 2020年12月19日 08時00分 公開
[村山昇INSIGHT NOW!]
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 では、偉大な事業家は事業をどうとらえるか。

 松下幸之助は「(松下電器産業にとって)事業とは人づくりである」と言いました。また本田宗一郎は本田技術研究所の社長に就任した際、「(ここでの)事業は、どういうものが“人に好かれるか”という研究である」と言いました。これらはその人なりの深い咀嚼がなされた主観的な定義です。客観を超えたところで意志的につくり出した宣言です。

 表層的な決めつけや感情的な偏見ではなく、深い把握・深い決意から出る主観であれば、それは独自性としてむしろ研ぎ澄ませていくべきものです。哲学者ニーチェは、「この世界に事実というものはない。ただ解釈があるのみ」と言いました。私たちは結局、主観的解釈で自分の生きる世界を決めていくのです。

 客観や論理・科学は、物事をとらえる土台として、また、多くの人を納得させる手段として重要なものですが、それ自体は目的を与えてくれるものではありません(もちろん科学者自身は、万人に説明がつく理論を構築することが職業上の目的になっていますが、その観点はここでは脇に置きます)。

 肯定的な意味での「主観的に考える」、すなわち、物事に力強い自分なりの解釈を与えること。これによって目的・意味が創出されます。これこそが独創性豊かで強い仕事・キャリア・事業を生み出す源泉と言えます。

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