この調査は仕事におけるストレスを対象としたものなので、テレワークに限った話ではないが、テレワークにより直接的なコミュニケーションが減ったことが影響した可能性は高いだろう。
この2つの調査はまったく別々に行われたものであり、同一の尺度で比較することはできないが、ある程度までなら有益な判断材料になる。
生産性の調査において若手の数字が上昇したのは、ITスキルの違いが大きいと考えられるが、日本の人事制度がそれに拍車を掛けた可能性が高い。
日本の場合、年功序列型の人事になっていることが多く、中高年社員は能力にかかわらず管理職もしくはそれに相当する職種に昇進している。いわゆる現場の事務作業の多くは若手が担っており、テレワークにシフトすることで、割り込みが入りにくい分、実際の生産性も向上した可能性が高い。
一方、中高年社員の中には、自身の存在をアピールするため無意味な指摘を繰り返すなど、若手の仕事を邪魔することが仕事になっている人もいる。直接、顔を合わせない分、こうしたマウンティングがやりにくくなっていることから、テレワークに不満を持った可能性は否定できないだろう。
さらに言えば、この調査では、中高年社員の中で60歳以上だけが生産性が向上したと回答した人の割合が増えている。60歳以上という年齢を考えると調査対象者の多くは幹部社員と思われるが、こうした人たちはITツールをうまく使いこなしている可能性が高い。結局のところ、年齢というよりも、ITを使いこなすスキルの有無が、生産性の認識に大きく影響したと考えるべきだろう。
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