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「リモートワークでコミュニケーションが減った」 実際何が問題なのか? 調査データを基に解説「総務」から会社を変える(2/4 ページ)

» 2021年01月06日 05時00分 公開
[豊田健一ITmedia]

モチベーションの低下、8割の企業で課題に

 調査によると、社員同士が顔を合わせる機会が減ることで、モチベーションに影響があると回答した人は82.6%だった。

モチベーションに大きく影響しているリモートワーク(出所:月刊総務、調査期間は10月20〜26日、以下同)

 その理由は、コミュニケーションに関する回答結果を見ることでヒントを得られそうだ。リモートワークを実施している企業に対し、リモートワークによる気軽なコミュニケーションの取りやすさに変化があるか尋ねたところ、「取りにくくなった」と回答した割合は72.3%だった。つまり、日常的なコミュニケーションが取りにくくなったことで、モチベーションへも影響を及ぼしている可能性があるといえそうだ。

コミュニケーションの取りやすさは、やはり悪化

 当然ながら、リアルな場であれば、横に居ればすぐにコミュニケーションが取れるが、リモートワークであると、電話をかける、Web会議を立ち上げるなど、ワンクッション入り、いちいちそのようなことをするのもおっくうになってくる。コミュニケーションの量は必然的に減少する。

 チャットやメールという手もあるが、これらのコミュニケーションツールではすぐにレスポンスがあるかどうかは分からない。今すぐ聞きたい、相談したい、あるいは、何気ない雑談も、リモートワークだとやりにくいということだ。その結果、個人でいろいろと溜め込んでしまい、メンタル不調に陥るということにもなる。コミュニケーションが取りにくいということは、軽微な課題のようでいて、ボディブローのようにじわじわと効いてくる課題なのだ。

帰属意識の低下も顕著

 リモートワークを実施している企業に対し、リモートワークの推進により、会社と社員とのつながりに課題を感じているか尋ねたところ「感じている」と答えた企業は84.2%に上った。つまり、コミュニケーションが減ることは、企業への帰属意識にもかかわる問題なのだ。

会社と個人のつながりも希薄化?

 生産性が高く働くことができるのはリモートワークのメリットではあるが、各人のいる場所は家であったり、契約しているコワーキングスペースであったりとさまざまだ。そうした状況では、「会社らしさ」を感じることはなかなか難しい。会社らしさとは、メンバー同士が醸し出す雰囲気であり、リアルな場で感じとることしかできない。

 「らしさ」を感じることができないと、会社への帰属意識は、当然低下する。センターオフィスは実家のようなもの、神社のようなものと表現されることもあるくらいで、その場にいることで初めて「らしさ」を感じ、帰属意識が醸成されるのだ。

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