記事の前編では、コロナ禍以降の社会を見据えて「社員がオフィスに行く理由」や「オフィスにしか提供できない価値」を考慮したオフィスづくりについて解説しました。
今回はより具体的に、社員数約350人に対して出社率50%程度を想定して施工した例をもとに、オフィスづくりのポイントをご紹介します。ABW(Activity Based Working)を推進しており、レイアウトにも反映しているソウルドアウト(東京都文京区)の実例です。
「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のこと。働く人たちが活動に合わせて、働く場所(自宅、オフィス、カフェなど)と働く時間を自ら選択し、業務の質を向上させることで顧客への提供価値を高めていくという考え方から生まれた。
本社移転にあたり、重視したことは下記です。
これらを考慮し、社員が「働きやすい場所」を選択できる状況を作れたという新オフィスのレイアウトを紹介します。
広い空間が持つ、空間デザインの可能性は大きいです。だからこそ「利用方法を決めつけすぎない」ことが重要です。
普段は密集を避けるよう、スペースを取って自由に利用できます。セミナーや会議などで使用する場合には、収納式の仕切りを用いて空間を分けることで、多目的に空間を使うことができます。
会議室でよく用いられるキャスター付きデスクも、配置の仕方次第で密集を防ぎ、十分な距離をとることができます(写真では撮影のため椅子を多く配置していますが、コロナ禍においては間引くことを推奨します)。
コロナ後を見据えると、一定の人数を収容する空間が必要になる可能性も考えられます。空間の活用には余白を持たせることが重要です。
執務エリアは多くの社員が集まり、長時間滞在する空間です。感染症対策は欠かせません。
「密を回避する」という観点では、固定席ではなく「フリーアドレス制」にすることも効果的です。毎回同じ景色ではなく、デスクからふと顔を上げたときの景色が変わることで、ちょっとした気分転換にもなります。また、近くにいるメンバーも固定ではないため、偶発的なコミュニケーションが生まれやすいというメリットがあります。
「オフィスだからこそ実現できる空間」とは、高パフォーマンスを生み出せる空間と居心地の良さの共存です。アフターコロナ時代も必要とされるオフィスであり続けるためには、現在の働き方だけを切り取るのではなく、長期的な目線が必要です。
レイアウトの工夫次第で、感染症対策はもちろん、集中力の向上や維持が期待できます。
一人当たりの占有面積を広く取り、パーテーションなどによる仕切りを設置することで人目が気にならず作業に取り組めます。また、変形家具を用いることで、よりランダムな配置も可能となります。
対面を避けるためには、同方向に着席するカウンター式や、窓方向に向いた座席の設置も有効です。
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