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なぜ次々と新ジャンル? バルミューダが社長一本槍から脱却目指すワケ家電メーカー進化論(2/6 ページ)

» 2021年01月27日 07時00分 公開
[倉本春ITmedia]

BALMUDA The Cleanerはビジネスを意識した初めての製品

 バルミューダは20年12月16日に東証マザーズ市場に上場し、初値は上場価格の約1.62倍と市場の高い期待を見せつける形となった。上場の約1カ月前となる11月17日に、同社初となるコードレススティッククリーナー「BALMUDA The Cleaner」を発売した。このクリーナーは、これまでの製品とは違う視点で開発されているという。そこで今回は、この従来とは異なる開発フローについて寺尾玄社長にうかがいつつ、バルミューダの人気の秘密に迫る。

 バルミューダといえば扇風機やトースターという印象があるが、なぜ今回は掃除機を開発したのか。その点について寺尾社長は「実はBALMUDA The Cleanerは、バルミューダとしては非常に特殊な製品」だと語った。

 今までのバルミューダは「社長がやりたいことをやる」というスタンスで製品開発を行ってきたという。例えば、バルミューダの認知を一気に広めた扇風機「GreenFan」は、身体に心地良い風を再現するために開発された。

 またオーブントースターの「BALMUDA The Toaster」は、幼い頃に食べたロッジのチーズトーストの感動をトースターで実現したい、朝いつも食べるトーストを感動の味にしたいという体験へのこだわりから、当時では考えられない2万円を超える高級トースターを発表。発売から5年経過した今も同社の人気製品として国内外で評価をウケている。これらはいずれも、寺尾社長の「こういった体験を再現したい」という要望から開発がスタートしたものだ。

10年に発売されたGreenFanは、バルミューダという会社の認知を一気に広めた製品で、40万台以上の販売実績を持つ。一般的な扇風機が風を渦巻き状に飛ばすことに着目し、この渦成分をなくすために二重構造の羽根を開発。一般的なACモーターより高価なDCモーターを採用し、扇風機というジャンルに高級モデルという概念を打ち立てた
トースターといえば電熱ヒーターで加熱するのが一般的な中、BALMUDA The Toasterは庫内に水蒸気を充満させて加熱するスチームテクノロジーを採用。中はしっとりモチモチ、表面はサクっと軽いトーストを実現したことで「時間がたったパンも美味しくなる」と、100万台を超える大ヒットとなった

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