首都圏内側は、東京の首都機能と従事する人の通勤可能な居住地であるため、都心を中心とした放射状の公共交通網がカバーする。その外側は後背地として製造拠点、物流機能などが分散配置されていて、人はクルマなどパーソナルな移動手段を中心に縦横に移動する、というのが活動イメージといっていいだろう。
16号線が通っている自治体は、正にその“汽水域”であり、通過自治体から外を外側、それ以外を内側として人口規模、動態について統計値(国立社会保障・人口問題研究「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」)を集計してみたのでご覧いただきたい。
現時点では首都圏1都3県の内と外の人口規模はほぼ同水準で、ともに1800万人ほどという巨大な人口集積となっているのだが、驚くのは、今後の動態だ。
首都圏といえども今後は人口減少が進むというのは事実なのだが、この分類でいう内側は、45年になっても現在との比較で増加している、という推計結果になる。つまり、首都圏における今後の人口減少とはあくまで外側地域の減少であって、内側はほぼ無縁なのである。
つまり、エリアマーケティングの観点からは、今後は首都圏の内側においてシェアアップしていく戦略を確立することが重要だということがデータ上も明らかなのだ。最近話題になったニトリ、DCMホールディングスの島忠争奪戦も、こうした背景をみれば「なるほど」と腑に落ちることだろう。なぜなら、島忠の店舗はほとんどが内側にあるからだ。
首都圏は、こうしたマーケットの二重構造がある。そのため、小売業界については、16号線の内外で有力企業の顔ぶれが違うのだ。
例えば、われわれ消費者が最も頻繁に訪れる業態の一つである食品スーパーなどは、ほぼ16号線を境にすみ分けがされている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング