首都圏の有力企業でいうなら、内側は、オーケー、ライフコーポレーション、サミット、外側がヤオコー、ベルクという顔ぶれになる。加えて、内側のマルエツ、外側のカスミをイオン・グループが統合したユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)までが、代表的なプレーヤーだろう。それぞれの売上推移をみると、内側はオーケー、外側であればヤオコーに勢いを感じ取れる。ちなみに、食品スーパー業界の売上トップとされているのは、ライフコーポレーション(20年2月期売上7147億円)なのだが、京阪神と首都圏の2地域展開なので、首都圏だけに限定すると、オーケー・ヤオコーにやや見劣りする。
ただ、前述の通り16号内外のマーケットは異質であるため、この2社がガチンコ対決しているという場面は、そんなにない。ヤオコーは外から内側に向けて入っていこうという意欲を過去から明らかにしてはいるが、まだ実現できているとは言いがたい。これに対し、オーケーは、自社の展開エリアは16号の内側と宣言して、淡々と内側への出店を続けている。内側のマーケットが潤沢かつ競争環境が緩やかということは間違いないのだが、では外側の実力者であるヤオコーでさえ恐る恐るの挑戦になっているのはなぜなのか。
単純な話ではあるが、16号内は、ヤオコーのビジネスモデルからみると、不動産などのコストが高すぎて収益確保が簡単ではないとみられる。内側で成長を続けているのはライフとサミットだが、両社は三菱商事、住友商事という巨大商社の子会社であり、そのネットワークの全面バックアップの下、店舗開発を行うことができている。他のスーパーは、そうもいかないため、可能な限り投資負担の軽い物件を探さねばならない。
こうした背景から、オーケーもかつては、他社閉店跡地などの居抜き物件を中心に低コストの場所に出店を行っていた。しかし近年では、高コストな新築物件へも積極的に出店して、商圏拡大を実現している。近時のオーケーは、明らかに店舗開発力がパワーアップしたと感じられる。なぜそんなことができるのだろうか。
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