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» 2021年01月28日 05時00分 公開

「国道16号」を越えられるか 首都圏スーパーの“双璧”ヤオコーとオーケー、本丸を巡る戦いの行方小売・流通アナリストの視点(1/5 ページ)

コロナ禍で人口流出が話題となる首都圏だが、「国道16号線」を軸に見てみると明暗が大きく分かれそうだ。スーパー業界も16号を境に勢力図が大きく変わる。そんな首都圏のスーパー業界勢力図を、今回は解説する。

[中井彰人,ITmedia]

 コロナ禍で終始した2020年が終わって、21年になっても第3波は収まらず、ついには緊急事態宣言の再発出という事態になってしまった。宣言後も感染者数は「過去最多」「曜日最多」といった状況で推移し、まだまだ収まるようには思えない。その間にも、オンラインでのコミュニケーションは浸透し、コロナ後もリモートワークは当たり前のこととして定着していくに違いない。

 リモートワーク定着化の影響ともいわれるが、最近では「東京一極集中」にも変化が起こっているという報道をよく目にするようになった。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告によれば、これまでは増加傾向であった東京都への移動人口が7年ぶりに減少へ転じ、主に首都圏郊外へ流出し始めたというのである。

2020年4〜11月の首都圏人口推移(単位:人数、総務省「住民基本台帳人口移動報告」から筆者が作成)

 日本経済新聞の21年1月3日付記事「東京郊外へ移住じわり 都心100キロ圏内に関心」によると、リクルートの不動産物件を扱うネット情報サービス「SUUMO」の地域別閲覧数を分析したところ、東京から50〜100キロ圏での閲覧件数が大きく増加しているという。

 記事で挙げられていた閲覧増加ポイントを列記してみると、千葉県館山市、東京都あきる野市、栃木県那須町、神奈川県逗子市、埼玉県本庄市、茨城県取手市、千葉県佐倉市、神奈川県茅ケ崎市と、確かに都心からはそこそこ遠いところが並んでいた。2拠点生活需要という面もあろうか、という見立てではあったが、こうした情報を聞けば、大都市圏住民の居住地に関する考え方は確かに変わりつつあるのかもしれない。

「国道16号」が境目

 東京一極集中とは、人口が東京及びその周辺地に集中し、その周囲、地方から人を吸い寄せるといったことのイメージだが、具体的にはどこまでが人口を吸引してきたエリアなのだろうか。小売ウォッチャーの見方でいえば、その境目といえるのが、国道16号線であろうと考えている。

 国道16号線とは、神奈川県横浜市西区の高島町交差点を起点に、横浜市、東京都町田市、神奈川県相模原市、東京都八王子市、埼玉県川越市、さいたま市、千葉県柏市、千葉市、木更津市、神奈川県横須賀市を経由して、高島町交差点を終点とする一般国道の路線で、東京都心部を中心軸とした環状線になっている。

 ざっくり言ってしまえば、この環状線から外側が、いわゆる首都圏郊外エリアであり、中心的移動手段がクルマであるロードサイド立地という地域である。対して内側が首都圏中核部であり、このエリア内の人の移動は放射線状の鉄道網と、鉄道駅を中心とした公共交通によって構築されている。具体的には、東京23区と多摩地区の立川以東、神奈川県では川崎市と横浜の北半分、さいたま市より南の埼玉県南部、千葉は浦安、市川といった地域ということになる。「首都圏」とまとめて語られることは多いが、内訳はこうした二重構造になっていることは、首都圏在住者であれば何となく気付いているはずだ。

画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ
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