業績好調のアイリスオーヤマ マスクで見せた「一点突破全面展開」と「時流適応経営」の秘密コロナ禍をチャンスに(4/6 ページ)

» 2021年01月29日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

伸びる鉄則その2「圧倒的な商品開発力」

 私がアイリスオーヤマのすごさを知ったのは、毎週月曜日に開催している「商品開発会議」の様子がテレビで放映されたことがきっかけです。その会議には会長をはじめ営業、財務、品質管理、応用研究などあらゆる部門の責任者が出席し、そのメンバーに対して提案者がプレゼンするというものでした。

 ここでOKが出れば商品化されます。だめなら商品にならないという場です。全部門の責任者が出席していますから、プレゼンがうまくいけばすぐに商品化され、全国で販売されるようになります。しかし、なかなか商品開発のOKがでるわけではありません。その場で交わされていた意見の大半は、顧客の目線から語られていました。「それのどこがなるほどなんだ?」「アイリスの社員は生活者の代弁者でなければいかん。自分の奥さんはそれで買いたいと思うか?」といった言葉が投げかけられるのです。

 この「徹底した生活者目線による商品開発」によって、後発ながら家電や生活用品の分野で次々とヒット商品を作り出してきました。世界的な大ヒット商品であるクリア収納ケースや、ペット用プラスチック製犬舎などが生まれた背景にはこういった思想があったのです。

巣ごもり需要で売れた商品

 結果として、売り上げの60%は発売から3年以内の新商品で占められるほどになっています。これは他社にはない特徴です。これを可能にしているのが商品開発会議で、即断即決だからこそできる芸当です。

 そして、さらに開発スピードを上げるために、国内大手メーカーに勤めていたエンジニアなどの中途採用を積極的に行い、低価格商品だけでなく、市場にはない機能を持つ製品を開発できるようになってきました。その結果、19年に発売されたばかりの電気圧力釜はヒット商品となりました。20年の巣ごもり需要の追い風もあり、25億円の売り上げをあげています。

 次の写真にある「電気圧力鍋4.0L」は、従来品の2倍の容量。一度に3〜4人分の料理をつくれます。また、高さを抑えた設計なので、テーブルに置いても料理のとり分けがしやすく、グリル鍋としても利用できるようになっています。さらに、自動調理できる料理も80種類まで増やし、料理時間を短くして手間を省きたい消費者の支持を集めています。

ヒットした電気圧力鍋

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