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パソナの淡路島移転は「島流し」なのか? 移住した副社長が感じた“思った以上のポテンシャル”とはアフターコロナ 仕事はこう変わる(5/6 ページ)

» 2021年02月15日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

パソナが目指す雇用創造業

 人材派遣の会社として著名なパソナであるが、意外にも純然たる人材派遣の分野の売り上げは全体の50%以下だ。人材派遣は依然として重要なビジネスではあるが、軸足は雇用創造の分野に移ってきている。今、同社が目指しているのは、雇用創造業としての確固たる地位の確立だ。

 東日本大震災の際にも、岩手県陸前高田市から、就労創出支援事業を受託。12〜15年、復興を担う人材を全国から募集して、職業実習を行い、70人の就労を支援。そのうち8割が地元企業に就職した。

ソナグループは、淡路島では農業の雇用を創出する、チャレンジファームを立ち上げた(出典:パソナグループホームページ)

 そうした雇用創出事業の農業版が、「チャレンジファーム」である。08年から、就農希望者や農業で起業したい人向けに、淡路島でスタートした。同社プレスリリース(10年4月27日付)では、6人が参加していた。淡路島では、人口減と少子高齢化によって広大な休耕地が広がっている。そこを再度開墾して、無農薬の有機栽培で安全・安心な農作物を育てようというわけだ。今後は、さまざまなキャリアを同時に積むのも必要という考えで、オフィスワークをしながら就農もするようなワークスタイルも探っていく。

音楽家を雇用。パソナグループの淡路島内の商業施設で働きながら、演奏活動ができる(提供:パソナ)

 また、コロナ禍で音楽家が演奏する場が激減しており、生計が立てられなくなっている。そうしたクラシックやジャズの演奏家、声楽家、バレリーナたちを支援する事業を淡路島で行っている。

 淡路島には、パソナが運営するレストラン、レジャー施設などが点在している。日本初の体験型エンターテインメント・アニメパーク「ニジゲンノモリ」、ハローキティとコラボした淡路島の食材を使う中華レストラン「ハローキティスマイル」、淡路ビーフなどを提供するビーチサイドのレストラン「オーシャンテラス」などといった具合だ。このような施設で働きながら、ピアノを演奏してもらったり、歌ってもらったりしている。現在は約20人の音楽家を雇用しているが、追加募集をしていく予定だ。

ニジゲンノモリ、クレヨンしんちゃんアドベンチャーパーク(提供:パソナ)

 当初、東京から淡路島に異動するのは、総務、経理、人事など事務職に限ると考えていた。しかし、営業職でもオンラインで商談する「インサイドセールス」が広がっており、働く場所はどこでも構わないということが分かってきた。従ってインサイドセールスを行う社員も、淡路島移転の対象者となる見通しだ。

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