「地元のスーパーに行くと、産直の売り場があって、1000円もあれば東京では考えられないほどの新鮮な野菜が山盛りで売っています。島中に漁港がありますから、海産物もすごい。東京では5000〜6000円するような海産物が、2000〜3000円ですよ」と、渡辺副社長は淡路島の食の豊かさを実感している。
渡辺副社長は北海道の出身で、新鮮で安価な農産物は見慣れている。その目をもってしても、淡路島には思った以上のポテンシャルがあると驚く。
淡路島には、午後10時まで開いているスーパー、深夜0時まで営業しているドラッグストアなどもあって、買物に不自由することはない。100円ショップやコンビニもある。
都会が恋しくなれば、車やバスで神戸・大阪に簡単に出られる。車を持っていなくても、高速バスの停留所に接続する路線バスが走っている。島内における暮らしの利便性を高めるため、パソナも無料のシャトルバスを走らせている。
さらには、東京へのアクセスも意外に早い。高速バスを使えば、新幹線の新神戸駅、神戸空港に直行してくれる。朝早くに淡路島を車で出て、新神戸駅・神戸空港まで行って乗り換えると、午前9時半から始まる東京オフィスの会議に出席するのも不可能ではないという。
しかし、パソナはどうしてそこまで淡路島にこだわるのか。
1つは、神戸出身の創業者である南部靖之パソナグループ代表の思いがある。南部代表は兵庫県立星陵高校の出身だ。同校は、明石海峡大橋の北詰で、舞子駅や垂水駅が最寄りの垂水区にある。つまり、淡路島が身近な存在であった。なお、淡路島は公立高校の学区が、神戸市と同じ第1学区だ。星陵高校にも、淡路島から通学する生徒がいる。
南部代表は、阪神・淡路大震災からの復興事業に熱心にかかわっていた。1996〜2004年、業績不振で撤退した神戸ハーバーランドの「神戸西武」跡地に、「神戸ハーバー・サーカス」という商業施設を社を挙げて運営。5年間で5万人の雇用創出を目指していた時期があった。神戸ハーバー・サーカスでは、被災してお店を失った人を対象に、1坪ショップを無料で貸し出すなどの社会貢献的な事業も行った。
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