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男性社員の育休取得をアップさせる環境づくり、3つのポイントなぜ低いのか(3/3 ページ)

» 2021年03月02日 07時00分 公開
[企業実務]
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(1)自社で取得可能な育休期間について検討する

 前述の通り、現在の男性社員の育児休業取得率は7.48%で、休業期間は2週間未満が7割となっています。まずは育休取得率を高めつつ、中小企業においては2週間、大企業で代替要員が確保できる場合は、欧州諸国が目指す2カ月〜4カ月の育休取得を目標にしてみましょう。

 以前、外国人労働者が半数以上を占めるシステム会社で、年次有給休暇の取得率の話になった際に、その取得率の高さに驚いたことがありました。詳細を聞いてみると、母国へ帰国するためには、少なくとも2週間の連続した休暇が必要であるとのこと。確かに、納得感があります。

 育休取得においても、男性社員がどれくらいの育休期間が必要とするのか、会社としては、どの程度の期間までなら取得させることができるのか、理由を明確にしたうえで話し合ってみましょう。

(2)カオスエンジニアリングを実践する

 トラブル発生時に的確な対処ができるようにするために、サービスやシステムに意図的にトラブルを発生させる訓練を「カオスエンジニアリング」といいます。

 具体的には、ランダムに選ばれた一部の社員について、一定期間連絡が取れない状態で、業務にどのような支障が発生するか、他のメンバーが業務遂行に必要な情報にアクセスできるかなどを試すことで、問題点を洗い出します。

 育休取得についても、育休取得者が業務から一定期間離脱し、連絡が取れない状況が生まれます。そのため、育休取得者の業務を事前に洗い出して、その人が不在の期間は誰がその業務を担うのか、その人が個人で抱えている情報がどのくらいあるのか、関連するメンバーにどう情報共有しておくかなどを検討しておきます。

(3)育休取得を支えてくれる仲間への感謝も大切

 フィンランドでは、国や地域が一体となって赤ちゃんを守り、育てるという政府の方針で、親への支援も含めて「生まれてくれてありがとう」というメッセージ付きの出産祝いが届くそうです。

 日本の職場でも、子育てが大変であることを理解し、みんなでフォローするような思いやりを持つことが大切です。

 一方の育休取得をする社員も、「育児をしているから、休むのは当たり前」ではなく「自分がいない間、頑張ってくれてありがとう」という気持ちを同僚に伝えることで、職場で奮闘する仲間たちの理解も得られ、育休取得がしやすい環境の醸成につながります。

著者紹介:岩野 麻子(いわの・あさこ)

社会保険労務士岩野麻子事務所/特定社会保険労務士

2007年に社会保険労務士岩野麻子事務所を開業。YouTube等でも、新型コロナ対策をはじめとする会社で必要になる人事労務、助成金の手続きについて分かりやすく解説する。

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