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» 2021年02月19日 07時00分 公開

「厳選採用」時代、中途採用戦略の立て方とは? カギは雇用形態と成長フェーズこれからの採用戦略を考える(1)(1/2 ページ)

コロナ禍により採用予算が削減されたことが要因で、多くの企業で余裕をもった人材採用が行えなくなった。「厳選採用」の傾向が続く中、できる限りミスマッチのない採用を行うために、ますます重要になっているのが「採用戦略」だ。

[狐崎壮史(エンワールド・ジャパン),ITmedia]

売り手市場の終焉、コロナ禍で始まった「厳選採用」

 新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で、中途採用市場は売り手市場から買い手市場に一転している。

 国内で感染拡大が広がり始めた2020年3月頃から、外資系企業で4割、日系企業で1.5割の企業が採用凍結を行い(「新型コロナ禍における中途採用実態調査」2020年4月 エンワールド・ジャパン)、4〜6月の求人数は19年比で85%まで落ち込んだ。

画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 在宅勤務やオンライン採用など、リモート環境への対応が早かった企業から順に、夏から秋にかけて採用活動を再開した。しかし、ITやインターネット関連などの一部の好調な分野を除いては、20年後半も多くの業界で前年の求人数を下回った。

 経済や事業の先行き不透明を理由に、多くの企業で採用予算が削減されたことが要因だ。多くの企業で、余裕をもった人材採用が行えなくなった。事業の課題解決を行うための高スキル人材や、ニューノーマル時代の事業戦略立案に必要な熟練した経験者など、企業の成長や存続に重大な役割を果たす一部の人材に絞られている。

 また、限られた採用枠の中で、より優秀な人材を獲得したいという企業の欲求が高まったことから、求職者に求められる要件はさらに高くなった。この事実は、全体の転職者数が減っているにもかかわらず、年収2000万円以上の転職者数が前年比で24%増加したことにも裏付けられている。

 新型コロナウイルスの収束が見えるまで「厳選採用」の傾向は継続すると考えられる。そればかりか、在宅勤務を導入している企業では、リモート環境でのオンボーディング(入社〜定着)という新しい課題も生まれている。これらの課題を乗り越え、入社後に活躍する人材を見極めるのは容易ではない。そこで、できる限りミスマッチのない採用を行うために、ますます重要になっているのが「採用戦略」だ。

中途採用戦略の立て方

 採用戦略とは、企業が安定して成長し続けるために、必要な人材を獲得するための戦略である。組織は人で成り立っているため、採用戦略は経営計画の中でも重要な課題に位置付けられている。

 採用戦略を立てる上でもっとも重要なのは、自社を冷静に分析して、置かれている状況を客観的な視点で把握することだ。例えば、企業が成長ステージのどの段階にいるのか、社内の人事制度やインフラ整備がどこまで進んでいるのか、などである。

 その後、売上や事業目標をはじめとした、企業の理想とする姿と比較する。そのギャップから不足しているリソースを特定し、課題解決に必要な能力、スキル、専門性と必要な人数を見極める。そして、その特性をもつ人物を採用するためのコストを試算し、有効な採用方法を検討する、というのが一連の大まかな考え方である。

雇用形態を考える〜メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用〜

 日本と欧米とでは、雇用における文化や考え方が全く異なっている。

 これまでの日本の人事、採用制度は、終身雇用制度で人が辞めないことを前提に成り立っていた。そのため、新卒一括採用後、さまざまな部署でジョブローテーションを行い、長期的に会社を支える人材を育成してきた。企業の成長過程で生まれた新しい仕事や課題解決にも、既存の社員を配置することで対応してきた。転勤や海外赴任が突発的に発生していたのもそのためであり、日系企業のユニークな人事システムの一つであるといえる。これが、いわゆる「メンバーシップ型雇用」だ。

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