派遣元の会社との雇用契約に、テレワークが含まれていない場合には、派遣先の会社で直接雇用の従業員がテレワークをしていても、派遣社員は出社しなければなりません。
これは、派遣元の会社との契約の問題になるため、派遣先の会社対応は法違反になりません。
しかし、テレワークを派遣社員だけ除外することは、不公平感による労働意欲の低下など、派遣先の会社にとってもデメリットが生じます。契約のために労使ともに業務が進めにくくなっては本末転倒ですので、柔軟な対応が求められます。
派遣先の会社では、派遣社員と派遣元の契約を変更する権利がありませんので、派遣社員の要望を派遣元に伝え、派遣元と派遣社員の間で契約内容を変更してもらうようにしましょう。
契約は、労使お互いの合意があれば変更は可能です。これは、不利益変更であっても可能ですが、安易な不利益変更は、労使トラブルの元になりますので注意が必要です。
もちろん、テレワークでの働き方を労働契約に含めることは不利益変更には当たらないので、積極的に行うとよいでしょう。
最後に、テレワークに関する相談を受けている立場から、テレワーク導入に当たって気を付けるべき点を挙げてみたいと思います。
制度やセキュリティに関することなど、物理的、人的に解決できることは、運用しながら適宜改善していけば、大きな問題に発展することはそれほどありません。
それよりも注意しておきたいのは、メンタルの問題です。
テレワークのおかげで、快適に仕事ができるようになったという人もいますが、お互いが顔を合わせる機会が減ることは、従業員の体調不良や悩みに気付きにくくなる一方で、見えにくいところでのハラスメントが発生しやすいといった弊害もあるのです。
また、社内チャットなどでコミュニケーションを取る会社もありますが、文章だけでは誤解を招きやすいものです。
テレワークによる労務トラブルは、直接会話をせずに、メールやチャットなどでのやりとりから始まっているケースも多くあります。便利なツールに頼りすぎるのも問題でしょう。
従業員のメンタルに配慮したテレワークができれば、自然と業務の生産性も向上するでしょう。
労働相談須田事務所 特定社会保険労務士・産業カウンセラー
労働問題の解決が専門。解決事例等についてブログ・SNSで発信している。NHK「あさイチ」等テレビ出演。ラジオ「ろうどうステーション」パーソナリティー。
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