学校を卒業し、4月から新入社員がデビューします。コロナ禍という未曽有の事態の中で就活し、勝ち取った内定。他世代とは、また一味違う重みがあるのではないでしょうか。
一方、新卒入社が社会への入口だとしたら、対極にある出口といえるのが定年退職です。日本経済新聞は、3月3日付で「YKKグループ、21年度から定年制を廃止」と題した記事を報じました。
定年を廃止する企業は少しずつ増えてきていますが、著名な企業が定年を廃止すれば新聞で報じられるほど、まだ少数派なことも事実です。それだけ、定年を必要な制度だと考えている企業が多いということだと思います。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「2019(平成31/令和元)年度新入社員意識調査アンケート結果」によると、「定年まで同じ会社で働きたい」と回答した人の割合は43.5%。半数以上は転職を視野に入れているものの、4割超が「取りあえずは入社した会社で、定年まで頑張って働いてみようかな」と、考えているようです。
現在、定年年齢は、法律によって60歳以上と定められています。今年、4年制大学を卒業して新入社員となる人の多くは22歳なので、60歳を迎えるのは38年後の2059年です。
しかし、既に法律では、雇用延長等によって企業が65歳まで社員を雇用する義務を負うことが決められており、さらに2021年4月からは、70歳まで就業機会を確保する制度を講じるよう努力義務が課されます。
それらの流れから、今年の新入社員が定年を迎えるころには、定年年齢は少なくとも65歳以上になっている可能性が高いと考えられます。仮に65歳で定年を迎えるとすると、今から43年後の2064年です。はるか先の未来ですが、そのころ日本の労働市場は一体どのようになっているのでしょうか。
世界中の生活様式を変えたと言っていいアップル社のiPhoneが登場したのが、今から14年前の2007年。パンデミックを引き起こした新型コロナウイルスが発生してからは1年少々しかたっていないことを考えると、これから43年の間にどんな劇的変化が待っているか正確に予測することなど事実上不可能です。
あくまでその前提に立ちつつも、今見えている中で比較的確実性の高い未来像の一つである、人口予測の観点から、43年後の労働市場がどうなりそうかをのぞいてみたいと思います。
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