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21卒が定年退職するころ、労働市場はどうなる? データから考える、「定年」の在り方「仕事卒業日」からキャリアを逆算する(5/5 ページ)

» 2021年03月30日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]
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 今でも、65歳を超える年齢なのに現役世代以上に精力的に働き活躍している人がたくさんいることを考えると、「現役」の定義を15〜64歳という年齢で区切ること自体に疑問が湧いてきます。生涯現役を掲げる人がいるように、「現役」の定義を年齢で区切るのではなく、個々の健康状態や仕事への意欲などを基準に判断すれば、定年という考え方は自ずと形骸化していくことになるのではないでしょうか。

 もし43年後には定年が形骸化しているとしたら、会社勤めであっても、自分の引退年齢は自分で決めることになります。人生100年時代ともいわれる中で、いつまで働き続けるかはこれからのシニア層にとって重要な問いかけになるはずです。

「仕事卒業日」を考えてみる

 働かなければならない状況の中で働き続けるのは、苦痛なことです。しかし、生きがいとしての仕事を生涯続けていくことは、人生を豊かにします。

 新たに社会に出た瞬間から、「仕事」との長い長い付き合いが始まります。これから仕事とどう向き合い、付き合っていくのか。定年という、会社から与えられた「仕事卒業日」から逆算して導き出す“今”と、定年に縛られず、自ら決めた「仕事卒業日」から逆算して導き出す“今”とでは、これからの仕事人生の歩み方に違いが生まれてくるように思います。

 自ら「仕事卒業日」を決めるには、自分なりのビジョンが必要です。ビジョンは一度描いて終わりではありません。経験とともに変化していきます。その過程で「仕事卒業日」を変えるか否か判断するのもまた自分です。そうやって歩み続けるうちに後ろに刻まれていく轍が、各自の職業キャリアとなっていきます。誰もが皆、主体者として自らの職業キャリアをデザインできるキャリア権を有しているのです。

 会社が決めた定年をゴールにして身を委ねるか、自らがキャリアの主体となって「仕事卒業日」を決め、経験や成長を通じて都度ブラッシュアップしていくか。最初の一歩だけでは大きな違いはないかもしれませんが、一歩一歩が積み重なった先で迎える43年後の姿は、きっと想像以上に異なっているはずです。新入社員の皆さんには、社会の入り口に立った今だからこそ、ご自身の「仕事卒業日」をどう決めるのか、考えてみていただきたいと思います。

著者プロフィール・川上敬太郎(かわかみけいたろう)

1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業。テンプスタッフ株式会社(当時)、業界専門誌『月刊人材ビジネス』などを経て2010年株式会社ビースタイル入社 。2011年より現職 (2020年からビースタイル ホールディングス) 。複数社に渡って、事業現場から管理部門までを統括。しゅふJOB総研では、のべ3万人以上の“働く主婦層”の声を調査・分析。 『ヒトラボ』『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰。NHK『あさイチ』など、メディア出演・コメント多数。 厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。 男女の双子を含む4児の父。


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